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『偽りの創造』
「はい」
くりくりとした大きな瞳の可愛らしい春。相良に懐いているようにも見えるけど、その実、違うらしい。
末長は眼鏡を掛けていて、いまいち本当の姿が掴めない。
2人とも成績優秀なのには変わらないが、次の寮長に選出するには決定打に欠ける。学年1位は末長だけど。
「じゃあ、解散。梓、今日点呼だから頼むな」
相良はそう言って末長と春を連れて出て行った。
「ほら、梓行くぞ。かばん」
パタンっとドアが締まると同時に一臣が喋り出した。一臣の前には大きめのマグカップにコーヒーが注がれていて、僕の分もその横に置いてあった。
「持ってきて」
コーヒーを口に運びながらそういうと一臣は僕の部屋に入っていった。
「一臣~。ご飯は?」
「食べるなら食堂に行ってくればいいだろう。ついでに俺の弁当持って来い」
「分かった。行って来る。入口で待ってるから」
一臣を残して部屋を出ると、1階の食堂に向かった。寮は広くて、食堂も隣の席との間はゆとりがある。一臣は部屋で食べることの方が多いからあまり利用しないけど、僕は作るのが苦手だから食堂を利用することが多い。
先に仕事を終わらせた相良たちがいつもの窓際の席に座っているのが見えて、手を上げて合図をしてからご飯と味噌汁、卵焼き、塩鮭の乗った和食のトレーを持って席に着いた。
「梓先輩いって、洋食ってイメージだけど、いつも和食ですね」
春のトレーにはサラダと目玉焼き、サンドウィッチが乗っていた。相良も同じもの。末長はおかゆと味噌汁、梅干、アジの開きという和食。
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