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『偽りの創造』
「何で、僕が園田のものにならなきゃならないんだよ」
自分のネクタイを指先でスルリと解くと僕の腕を縛ってしまった。
「ちょっと、園田。僕にそんな趣味は無いんだけど……」
園田の瞳には欲望が伺え見える。
「逃げられたら堪らないからな」
「逃げるっていうか……僕はその気無いんだけど」
言い返しても無視してネクタイを解き、シャツのボタンを外してしまう。
「なぁ、俺が付けた痕、あいつ怒ったか?」
シャツを捲りあげると中に着ていたシャツをたくし上げてそこに唇を寄せる。
昨日の夜とは違う明るい室内。広い教室に声は響く。今は授業中だから誰も来ないことは分かっていても、休み時間になれば誰かがやってくるかもしれないという不安。それに、窓のカーテンは開け放たれている。
抗っても園田に叶わないことは昨日知っている。
「そ、園田。ここじゃ嫌だ」
せめてどこか絶対に誰も来ない場所に移動しよう。僕の部屋か園田の部屋。寮が違うけど授業中の今なら誰にもばれずに中に入ることはできる。
犬猿の仲と言われる寮長の部屋に僕が入ってくのを見られるわけにはいかない。
「どこだっていいだろ。やることは同じだ」
クッと胸の突起を噛まれて、痛みに仰け反った。縛られた腕が軋む。
「大人しくしとけばすぐ終わる」
「………」
どう言い返していいのか分からない。
馴れないことはつくづくしない方がいいなと、後悔しても元には戻れない。望んだ結果が、望んだものになるとは限らない。
「じゃあ、大人しくしてるから、さっさと終わらせてよね」
園田がするように口端を上げて笑った。
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