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『浸水する関係』

 一度きりじゃなかった。そして、2度、3度と続いていく。快感を教え込まれる身体は、園田を求める。  他の人間には反応しないのだから。それほどに僕は園田に焦がれていたのだと知った。  だけど、それを園田に知られるわけにはいかないから、「君だけじゃないんだよ?」と虚勢を張り続けた。  そして、一臣のところに逃げ帰った。  一臣は甘えてきながら、僕を甘やかしてくれたから。  空き教室や屋上、保健室、体育倉庫ありとあらゆるところで身体を重ねた。園田が誘ってくるから。 「どうせヤルだけなんだから」  僕から乗った時だってあった。相変わらずの園田の素行。それは僕の耳にも届いていた。  僕だけじゃない。それは益々僕を煽った。独占欲とも取れる僕の想い。だけど、それには目を閉じて耐えた。  女王様は色気が増した。そこにいるだけで抜けそう。誘われた。視線が色っぽい。フェロモン駄々漏れ……僕の噂も益々酷くなった。  試験はあっけないほどにあっさりと結果が出た。  A寮の大差での勝利。  B寮生だって問題は無かったし、これまでより点数が良かった。しかし、A寮はそれ以上だったのだから仕方が無い。そして、この実力テストは『副寮長選』だった。指名権はA、B、D、C寮の順で与えられた。  久しぶりに行われた全校集会。そこに集められた生徒の前に並んでいるのは各寮長。  ひと際目を引くのは長身の園田。艶のある黒髪で美貌の一臣。副寮長選はこれまでB寮が勝っていた。1年の時はまだ園田は寮長ではなかった。去年もB寮が勝った。 「誰にするかな?」

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