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『浸水する関係』

「ここがお前の部屋だ」  園田が寮の入口まで迎えに出てきて、B寮と同じ4階の寮長室へ連れて行かれた。  一臣と生活していた部屋と同じ作り。角部屋で一番奥の窓のある部屋を使うように言われて中に入った。 「入らないで」  続いて園田が部屋に入ろうとしたのを制した。  強気に行こうと決めていた。最初が肝心だと。突き放して、拒む。部屋では絶対にヤらないと園田に提案して、それに従わせようと。 「何でだよ。やっと部屋に呼んでやったのに」  やっと部屋に呼んだ? その言葉に気が付いた。他の寮への入室は一般生徒には原則として禁止されている。生徒間での問題を解決するために寮長会が寮を尋ねていくことはできるが、個人的な用事での入寮も禁止だ。 「呼んだって何? 僕を部屋に呼びたかったの?」  ゆっくりと園田を振り返った。園田は部屋の入り口に立って、「教室じゃぁ声が響くだろ?」と口端を上げて笑った。 「僕を副寮長に指名したのはその為だってこと?」 「他に理由があるのか?」 「僕、自分の部屋は汚されたくないんだよね」 「何だ、俺の部屋に来るか?」 「行かないよ。生活とは切り離したいんだよ」 「面白くないなぁ。俺はやりまくろうって考えてたのによぉ」  園田はニヤニヤと厭らしく笑う。

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