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『浸水する関係』
「嫌だよ。そんな自堕落な生活はしない。この部屋で抱かれる気は無い」
「へぇ~。勝手にすればいい。俺も勝手にするから」
園田は笑いながら入口からリビングの方へ行ってしまった。
すんなりと引いたことに拍子抜けした。だけど、園田が何を考えているのか、何を仕掛けてくるのか……不安で堪らない。
園田の立っていた入り口のドアを閉めると、鍵をかけてベッドに寝転んだ。
真新しいシーツはのりが利きすぎていてゴワゴワした。
「僕は、柔らかいシーツが好きなのに……枕だって、もう少し硬いほうがいい」
寝返りを打ってうつ伏せになると、「こんな部屋いやだ」と呟いて目を閉じた。
部屋は園田の香りが染み付いている。
こんなに部屋に匂いが移るほど猛とは部屋を行き来していたんだろうか。
園田と同じように猛も体格がいい。だけど、園田とどうこうということは聞いたことも無い。だけど、部屋では違っていたんだろうか。
『やりまくり』なんて、前に言ってたけど……誰とでも寝ると言われてる園田だから……。
ベッドから窓の外を眺める。今までと同じ間取りなのに、窓から見える景色は微妙に違う。部屋に運んでもらった荷物の片付けもしなくちゃならないけど、ヤル気になれない。
部屋を出ると園田がいる。
いっその事……好きだと言ってしまおうか。
そうすれば園田の熱は冷めるのだから。
いくつも聞いている園田の話。そのどれもが相手が恋愛感情を持つと冷めるというもの。
嘘でも……嘘でも告白して嫌われてしまうか。
そうすれば次の寮戦でB寮に戻れるかもしれない。
だけど……。
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