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『投石』

「だったら放課後、教室来いよ」 「嫌。用事があるなら園田からおいでよ」  出汁のよく聞いた卵焼きを口に運ぼうとして、それを横から園田が手で摘んで取り上げて自分の口に入れてしまった。 「あ……」  じっとその口を見つめる。赤い舌が唇を舐めて、「放課後待ってろよ」と言って帰って行った。 「梓。食べる?」 「いらない。甘いのは好きじゃないんだ」  言い返して園田の背中を見送った。  放課後。昨日は誘いが無かった。だけど帰りは遅かったから誰かと一緒だったのかもしれない。  僕を抱いていながら、他の誰かともヤッている。その誰かを感じるたびに僕は苦しくなる。  同じ部屋にいながら触れることのできないその背中に苦しくなる。 「梓?」 「何?」 「放課後行くのか?」  一臣は心配そうに僕を見つめるが、「きっと寮長会だよ」と誤魔化した。 「……あっ……そこ」  下から突き上げられながら目の前のシーツを握り締めた。  白いシーツとクリーム色のカーテンに仕切られた空間。ギシギシと音を立てる安っぽいパイプベッド。  うつ伏せて背中から園田が腰を掴んで引き寄せられると更に奥まで穿たれる。

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