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『投石』
「……っ…」
一気に追い詰められて目の前が白くなった。
『バタンッ』
ドアが締まる音と放出は同時だった。そして園田が息を詰まらせたのも同じだった。
お互いに荒い息を吐き出して、園田がズルリと自身を引き抜いた。パチっと弾けるような音がして、ベッドにうつ伏せたままの僕を仰向けにすると白いものが溜まったゴムを外した。
「ほら、とっとと帰るぞ」
衣服を整えると園田はベッドから降りた。
「帰っていいよ。僕はこのまま寝るから」
「さっきのやつ、気が付いて仲間呼びに行ったのかもしんねぞ」
声は出さなかったけど、ベッドの軋む音が聞こえたのかもしれない。
「そう? 何人連れてくるかな?」
答えながらゆっくりとだるい身体を起こして乱れた衣服を整える。
「2人か、3人か……園田も混ざる?」
意味深に園田を見上げると、「まだ足りねぇのか?」と意地悪に笑った。
「園田はこの後また誰かを抱きに行くんでしょ?」
僕だけじゃないのだから。
「そうだな。女王様は部屋に入れてくれないからな」
帰っても部屋には入れない。入らない。
もう一度ここでする時間も無い。
園田は「腹減ったから帰る」と踵を返して保健室を出て行った。しばらく横になってうとうとしていると校医が帰って来て、「本当に具合が悪かったんだね」と言ってカーテンを開けた。
「園田が連れてきたからてっきり場所の提供かとも思ったけど違ったんだ」
「……頭痛い」
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