ボタンの取れたシャツの前を手で合わせて、かび臭いマッドの上に座った。 　まだ５時前だ。夕飯の時間まで２時間もある。それまでに誰かが気づいて探しに来てくれればいいけど、こんなに広い学校の中だから気が付いても見つけ出すのに時間はかかるだろう。 「猛の携帯に一瞬でも繋がったからすぐに気づくだろ。あいつなら俺の居場所ぐらいすぐに特定できる」 　それはここに連れ込んでいるってことも知っているということだろう。ここに連れ込んだのは僕が最初じゃないってことも。 「どのくらいかかるかな」 「さぁな」 「ち、ちょっと……」 「時間はたっぷりあるし……続きをしようぜ」 　再びマットの上に押し倒された。天井でチカチカと光る蛍光灯が眩しい。 「嫌だっ。そんな気分じゃない」 　何人ここに連れ込んだのだろう。僕は何人目だろう。手馴れた園田に今更怒りを覚えても仕方が無いことなのに、嫌悪感で胸はいっぱいになり、園田から逃れようと抵抗した。 「今更だろ」 　園田は僕の抵抗を物ともせずシャツをたくし上げてズボンのベルトを引き抜いた。 「嫌だっ。痛いっ」 　引き抜いたベルトで僕の両手を頭上で一括りにしてバスケットボールの入れられた鉄製の籠に縛り付けた。 「俺が誘えば簡単に足を開くやつばかりだからな、無理やりってのもたまには楽しいだろう？」 「僕は無理やりなんて嫌だ。こんなことして楽しいわけが無いでしょう。それに、ベルトの痕が付いたらどうしてくれるの」 「まだ痕とか気にしてるのかよ。俺以外の奴に抱かせるなよ」 　ズキンっと胸が痛む。どういう理由で俺以外に抱かせるなと言うのか。なんで独占欲向けられれるのかが分からない。