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『広がり続ける』
それは僕を独り占めしたいってことだろうか。
「お前がその気になったら解いてやるよ」
園田はたくし上げたシャツから露になった肌を両手で撫でる。
両足は押えられていて足掻くこともできない。
園田の大きな手が肌を滑る。
いつもなら性急に事に及ぶのに、今日はゆっくりと優しい手つきで撫でられるから勘違いしそうになる。
大事にされてるんじゃないかと勘違いする。
「……やめてって……」
園田の唇が露出した肌に触れる。舐めるようにされて、軽く吸い上げられて、濡れた音が響く。
甘く弱く、優しい愛撫に身体は震える。もっと強い刺激を知っているから、焦れる。
頭の中では嫌だと抵抗しているのに、身体は快感に反応する。
甘い愛撫に簡単に溶かされていく。
ズボンを脱がされた時にはすでに抵抗できなかった。
シャツと下着だけにされて、両手は頭上に縛られて荒い息継ぎを繰り返す。
「2人きりだし、助けが来るまでは逃げられない。その気になったか?」
たまには甘く優しいセックスをしても許されるだろうか。
初めての時のように。
ここがベッドの上じゃなくて良かった。
ここが園田の部屋じゃなくて良かった。
ここが僕が初めての場所でなくてよかった。
こんなに甘く、優しくされると、『告白』してしまったかもしれない。
好きだと縋ったかもしれない。
自分を苦しめる場所でよかった。
「……逃げないから、解いてよ」
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