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『求める』
「入れない」
これ以上、園田に僕に踏み入って欲しくない。部屋には入れたくない。
「図書館でだって、体育倉庫だって、お前もヤル気だっただろ? ああ、体育倉庫はいまいちだったな。イケて無かった……」
「お前が勝手にやっただけだろっ。僕は、僕は嫌がったっ」
「梓?」
感情があふれ出しそうだ……。
頭がぼぅっとして、言葉を止めることができない。
いつもとは違う浮遊感。
「僕が嫌がっても、お前が無理やりっ……嫌いだって、お前なんか……」
「どうしたんだ?」
園田が近づいてくる。
「近づくなっ」
後ずさって背中が壁に付いた。
「お前、ちょっと、おかしいぞ?」
さらに近づく園田を両手で押し返すが、園田は眉間に皺を寄せて僕の頬に手を触れた。
「僕はおかしくなんか無いっ。お前が、お前がおかしくしたんだっ。僕は何も……」
何も知らなかったのに。
『女王様』なんて呼ぶから……。
「熱いな」
「熱い? 熱いって何? 僕は熱くなんか無い」
嫌々をするように頭を振って、園田の手から逃げをうつ。
「大人しくしろ」
「大人しくって、大人しくって何だよっ。僕が暴れたって、園田はやりたい時に好きにしてたじゃないかっ」
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