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『出会い』

 環境の変化による疲れと睡眠不足、食欲不振……原因はいくらでもある。相良と一臣がやってきて、「知恵熱?」と笑われてしまった。  一臣は心配して、自分の寮に泊まりに来るように言ったけど、今日は園田が帰って来ないというから、一臣が泊まってくれた。  一緒のベッドに。  幼い頃から僕が熱を出すと一臣は一緒に寝てくれた。高校生になって熱を出すなんて無かったけど、この間もつい、一緒に寝てしまった。  たぶん、不安になると人肌を求めてしまうんだと思う。  相良には一臣がいるから大丈夫だからと帰ってもらった。 「相変わらず散らかってるな」  ベッドに並んで天井を見上げると一臣が笑いを含んだ掠れた声でそう言った。 「散らかっては無いよ。これが普通だし、落ち着くんだよ」  天井からはアンティークのガラスのライトがぶら下がり、あちこちにモビールも吊るしてある。壁には飾り棚があって、集めているグラスが並べてあった。 「園田は?」 「この部屋のこと?」  聞き返すと、「ああ」と返事をした。 「知ってるよ。引っ越して来た時に蛍光灯を付け替えてもらったから。それ以来この部屋には入れてない」 「なんだよ。仲良くしてるのかと思ったのに」 「仲良くなんてしてないよ」

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