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『出会い』
廊下に園田がいたらすぐに気が付くはずだ。それに園田と別れてそんなに時間は経っていないはずだ。
「模範テストは下駄箱で猛に会ったから頼んだ。俺は……ちょっと呼び出されて化学実験室にいた」
「へぇ~呼び出されたんだ」
4人と会ったのは化学実験室の前の廊下だった。園田がそこにいたのなら話は聞こえていたはずだ。
手に持っていた鍵を園田が受け取って、職員室内の保管庫に直した。
「梓に二股掛けられてるとは知らなかったなぁ」
寮に帰ろうと歩き出した僕の横を園田が歩き出す。
「呼び出した相手はどうしたの? やったんじゃないの? 早かったね」
「誰かれ構わずやったりしないっての。呼び出したのは科学の三浦だ」
「三浦先生? 先生ともやってるの?」
「だから、やってねぇ」
園田は苦笑いで、「こっち来いよ」と僕の腕を引いた。
「どこ行くんだよ。僕は寮に帰りたいんだけど」
「疑ってるみたいだから、化学実験室」
「疑うも何も……」
「いいから来いって」
園田に引かれてもと来た道を戻る。
「園田。僕とすれ違わなかったのに何で先に職員室前にいたの?」
「科学準備室を通ったら裏から出れる」
「へぇ~」
そこを通れば、先生との情事の後に教室で授業を受ける生徒に会わずに抜け出せるってことか……。
裏口から出たら、廊下にいる僕たちに会うことは無い。それで、園田が先回りしたことが分かった。
「先回りなんてしないで、僕を助けてくれればよかったのに」
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