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『出会い』
「三浦にはこれを頼まれただけ」
三浦の机には大きなダンボールが一つ置かれていた。
「何それ?」
「備品の搬入」
ダンボールの中には梱包材に包まれたガラス製の実験器具が入っていた。
「重いから持つの手伝ってくれって」
「へぇ~」
返事をしてそのソファーに座った。
「なあ……」
園田が振り返って、ソファーに寄ってくる。僕が座っているソファーの背に片手を付いて屈むようにして顔を近づけた。
急な接近に胸が跳ねた。
「な……何?」
「ベッドは用意できなくても、ソファーでもいいよな?」
「え?……ち、ちょっと……」
肩を押されてドサリとソファーに押し倒された。
天井までの視線を園田が遮る。見下ろされて両肩を押さえつけられる。
そのまま顔を近づけられて、ギュッと目を閉じた。
キス……されるかと思った。
首に感じる熱い唇。羽織ったシャツの中に着ている派手なTシャツから覗く首筋を園田の熱い舌が這う。
「そ、園田っ。止めて」
跳ね除けようとしても園田は動じない。
「昨日は一臣と寝たんだろ?」
ボソボソと呟く園田に、「寝たけど、呼んだのは園田だろ」と言い返した。
「一臣は優しいだろ?」
鎖骨に唇を充てたまま喋られると、そこから甘い痺れが広がる。
「一臣……は、ただ、一緒に寝ただけで……」
園田の手がTシャツの裾から入り、肌を撫でた。
「一緒にね」
「った……噛まないでよ。んっ……痕が、残る」
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