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『発展』
すぐに着替えてきた一臣がシャワー室のドアを開けた。響君は足が痛むらしく、一臣が抱き上げて、抵抗するのを押さえつけてソファーに座らせられた。
捻挫や打撲、裂傷もあって、僕が手当ていしている間に寮長たちは対応について話し合い、加害者を退寮させることに決めた。
退寮となれば全寮制のここからの退学となる。
同性の恋人同士はある程度黙認されてはいるが、それが暴行となると処分は厳しい。
寮の規律を守る上で、それは重要なことなのだ。
「お前、本気で帰らないのか?」
いつに無く弱気な声の園田。
一臣たちの部屋で、僕ははっきりとB寮には帰らないと言った。
園田は少し驚いた顔をしていたけど、「一臣はきっと僕をもう戻さないよ」と返した。
A寮へ帰る園田と一緒に歩く。
放課後に起きた暴行事件で話し合いをしてすっかり遅くなってしまった。
真っ暗な夜道を寮に向かって並んで歩く。
「何だ。一臣はあっちに乗り換えたのか?」
「乗り換えるも何も……僕は関係ない」
足元にあった小石を蹴る。
「子守も大変だな」
「子守?」
「あいつ……苦労症か?」
園田は笑ったけどその真意は分からなかった。
来週テストで僕を取り返すと宣言していたB寮。僕が帰らないと言ったせいで、反故にはなったがテスト後に一臣が副寮長を指名することになった。
「テスト開けの休み。どうすんだ?」
園田が足を止めた。寮の玄関はすぐそこだ。後ろからその明りを受けて、園田の表情は分からない。
テストが開けると4日間の連休がある。休みを利用して帰省する生徒も多い。僕は毎年一臣と寮に残っていた。 すぐに着替えてきた一臣がシャワー室のドアを開けた。響君は足が痛むらしく、一臣が抱き上げて、抵抗するのを押さえつけてソファーに座らせられた。
捻挫や打撲、裂傷もあって、僕が手当ていしている間に寮長たちは対応について話し合い、加害者を退寮させることに決めた。
退寮となれば全寮制のここからの退学となる。
同性の恋人同士はある程度黙認されてはいるが、それが暴行となると処分は厳しい。
寮の規律を守る上で、それは重要なことなのだ。
「お前、本気で帰らないのか?」
いつに無く弱気な声の園田。
一臣たちの部屋で、僕ははっきりとB寮には帰らないと言った。
園田は少し驚いた顔をしていたけど、「一臣はきっと僕をもう戻さないよ」と返した。
A寮へ帰る園田と一緒に歩く。
放課後に起きた暴行事件で話し合いをしてすっかり遅くなってしまった。
真っ暗な夜道を寮に向かって並んで歩く。
「何だ。一臣はあっちに乗り換えたのか?」
「乗り換えるも何も……僕は関係ない」
足元にあった小石を蹴る。
「子守も大変だな」
「子守?」
「あいつ……苦労症か?」
園田は笑ったけどその真意は分からなかった。
来週テストで僕を取り返すと宣言していたB寮。僕が帰らないと言ったせいで、反故にはなったがテスト後に一臣が副寮長を指名することになった。
「テスト開けの休み。どうすんだ?」
園田が足を止めた。寮の玄関はすぐそこだ。後ろからその明りを受けて、園田の表情は分からない。
テストが開けると4日間の連休がある。休みを利用して帰省する生徒も多い。僕は毎年一臣と寮に残っていた。
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