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『決断』
さすがにテスト期間ともなると園田は僕を呼びつけなかった。2日と空けなかった関係が解消されたかのような錯覚を起す。
避けられているのとも違う、そっけない態度。
テスト期間中は園田の素行も落ち着いているし、相手もテストがあるから浮いた話も聞かなかった。
でも、僕は……。
「こんなに順位が下がったの初めてだ……」
張り出された順位表を眺めて呟くと、「あ~あ。勉強みてやったほうがよかったか?」と頭を撫でられた。
相変わらずの2位。B寮はA寮に平均点6点差で勝ったのだ。僕をB寮に戻すには10点が必要だったから不可能と決まった。
「嬉しそうだね」
園田の声は普段より機嫌が良かった。
抜かれたとはいえ、僕を奪い返される失態は免れたのだから。
「お前が頑張ればもっと点差縮まったのにな」
「そんなの……どうでもいいよ」
掲示板に背を向けて教室に向かう。
後ろから付いてくる園田が、「とりあえず、今から付き合えよ。テスト期間で溜まってんだよ」と耳元であからさまな誘いをかけてきた。
「嫌だ」
この間好きなやつがいるって話していたばかりなのに、僕はあれから眠れないのに……。
毎晩、隣の部屋にいる園田が気になって眠れない。帰りが遅いとか、シャワーを浴びる音とか……何でこんなに遅い時間に帰ってくるのかとか……気になって、気になって、勉強は手に付かなかった。
「こんなに順位が落ちて、そんな気分じゃない」
もう、抱かれたくない。
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