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『決断』
意識しながらも、もう会いたくないと願ってしまう。
この恋を諦めたら、楽になれる。
園田に『好き』と伝えれば終わる。
「まあ、4日も休みだしな。お前いるんだろ?」
「………いるけど」
教室はすぐ目の前だ。明日からの休みに他の生徒は浮かれている。ホームルームさえ終われば後は自由だ。
「俺と過ごすのも悪くは無いだろ?」
「この間はあちこち誘いがあるから自由にさせてもらうって言ってじゃない。振られたの?」
これ以上踏み込んで欲しくない。
教室の入口に立ったままの僕。園田は僕を見下ろしたまま壁に手を付いた。背中に感じる園田の体温。
「振るから俺と……」
「僕にだって予定はあるよ。園田は暇かもしれないけど、僕は相手もいる。悪いけど、僕も自由にさせてもらう」
園田の方を振り返って見上げる。園田はニヤニヤと笑いながら、「まあ、女王様は優しくて、甘やかしてくれるやつがいいんだもんな」と口端を更に上げて笑った。
園田が何で僕を誘うのかが理解できない。
「何で、僕を誘うのかな?」
「別に。あっちがくっ付いたみたいだから」
視線の先を追いかけると一臣が座っている。
これは園田なりに僕を気遣っているって事だろうか。
僕が一臣を取られて寂しくなったとでも思っているんだろうか。そんな気遣い必要ないのに。できるなら一人でそっとしておいてくれたらいいのに。
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