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『決断』
「明日から休みだぞ。それで恋人同士にでもなればやりまくりだろ? そんなところに首突っ込むなよ」
「でも、休み中に行く約束はしてるんだけど」
「反故だろ」
園田はため息を付いて立ち上がると、簡易キッチンの方へ行き、「コーヒー飲むか?」と聞いた。園田にコーヒーなんていれて貰ったことは無い。二人でこのソファーに座って会話らしいことをしたことがなかったからかもしれない。
「園田まだ時間かかるの? コーヒー眠れなくなるんじゃない?」
「別に眠れなくなる分にはかまわねぇよ。どうせ明日は休みだし」
そっかと思い直して、「僕も飲む」と返事をした。
あまりキッチンを使うことが無い僕は何が置いてあるのかも把握していないけど、園田は夜中でもカチャカチャと何か作っている音がするから、夜食とかは作れるのかもしれない。
しばらくするとコーヒーの芳ばしい香りが部屋に広がった。
「インスタントでよかったのに」
今更なことを言いながら出されたコーヒーを受け取った。
「ブラックでいいのか?」
「ミルクだけ」
キッチンからミルクを取ってきてくれた。園田は自分の分をテーブルに置いてソファーに座るとまたペンを握った。
「手伝おうか?」
「……じゃあ、これを……」
園田が書類を掴もうとしたと同時に携帯がメールの着信を告げた。
「……一臣からだ……ごめん」
ポケットから携帯を取り出してメールを確認する。
『ゴム以外に何が必要か?』
「えっ?」
内容に驚いて、声を上げて、ため息を付いた。
「どうしたんだ?」
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