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『決断』
「……いや、一臣がさ。一臣ってメールも単語なんだよね。意味が分からない内容が多いんだけど……」
携帯の画面を園田に見せた。園田は飲んでいたコーヒーを吹きかけてテーブルにカップを置いた。
「あいつ、男無いのか?」
園田の顔からは面白いことになりそうだと思っていることが分かった。
「そうみたい。っていうか、普通は無いよ」
僕なんて女性経験すら無いっていうのに。目の前の園田なんて数え切れない程だろうけど。
「ちょっと、電話する」
通話ボタンを押す。部屋に行こうとすると、「アドバイスしてやるよ」と意地悪く笑うから、そのままソファーに座りなおした。
一臣はすぐに電話に出た。
「もしもし? 一臣。どういうこと?」
『今、コンビニ』
すでに買い物に出ているらしい。電話の向こうからはコンビニ特有のラジオ風の音が聞こえていた。そこからの何が必要かってメールらしいけど……。
「先に聞いてよ。コンビニで買える……のかな?」
園田は「ゴムくらいコンビニで買える」と返事をした。
「買えるって。でも、相手は? 相手は響君だよね? それって同意なの?」
僕が聞いたと同時に、『え? だれ?』と声が変わった。
「もしもし。響君?」
『え? 梓先輩?』
どうやら一緒にコンビニに買い物に行っているらしい。ということは同意で買いに出たって事かな?
普通……こっそりと用意するなり、一人で買いに行ったりするもんじゃないのかな? 第一、男同士なんだから、コンビニなんかで二人揃って買うなんて、どういう神経……。
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