118 / 139
『甘い告白』
驚きに見つめたまま名前を呼んだけど、園田はもう一度口付けをして、「なんて顔してるんだ?」と笑った。
涙は驚きに止まった。
「何で……キ、キス?」
どうしてキスをするのだろう。僕は今告白したはずなのに。突き放されるはずなのに。
何だろう。この甘い雰囲気は。
両腕を身体に回されて、抱き寄せられている。
「園田?」
もう一度確認する。僕は夢でも見ているんだろうか。長く夢見過ぎて、願望が夢で現われているんだろうか。
「アズ?」
「………何で?」
「どうしたんだ?」
園田は不思議そうに僕を見つめている。見渡して確認する。ここは僕の知らない部屋だ。一度だって入ったことは無い。
だから、夢なら好きに想像できる。
「もう少しこのまま寝るから起さないで。今、幸せだから」
腕に頭を乗せたまま目を閉じて擦り寄った。そして、自分の腕を園田に回した。
「別に、寝るのはかまわねぇけど」
園田がポンポンと頭を軽く叩いた。
「うん。このままがいい」
ずっと夢の中を漂っていたい。園田に抱かれて、包まれてキスされて、親しい名を呼ばれて、ちょっと腰が痛いけど、幸せ。
「夢でも腰は痛いのか」
「梓? 寝ぼけてるのか?」
言葉の理解に時間がかかった。
ともだちにシェアしよう!