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『甘い告白』
「だったら、放置してくれればよかったのに」
ため息を付いてタオルケットを握り締めた。
「お前、俺のことどう思ってんだよ。そんなに非道じゃねぇっての」
「……だって、優しくない」
「優しいだろうがっ」
俯いてタオルケットを握り締める手に力が入る。唇を噛み締めて込み上げるものに耐えた。
優しくない。僕だけじゃない。
「コーヒー飲みたい」
「はぁ?」
「今すぐ。コーヒー飲みたい」
ここから逃げ出したい。現実を直視できない。ギュッと握り締めたタオルケットはこの間、僕に掛けてくれたものだ。
「のど乾いたのか……ちょっと待ってろ」
「アイスがいい」
ベッドから立ち上がった園田は振り返った。
「氷無いから、温いのしかできないぞ」
「製氷機。食堂にあるじゃん」
どうして聞いてくれようとするんだ。僕のこんなわがまま聞いてくれようとするんだ。僕は『好き』と言ったはずだ。
それをまるで聞いていなかったかのように園田は普段と変わりない。
「分かった。ちょっと待ってろよ。ったく女王様だな」
「………おう……ゃない」
女王様なんかじゃない。僕は女王様なんかじゃない。その言葉のせいで、僕は甘えることも許されず、自由に恋もできなくて、経験も無いのにあるふりをさせられて、苦しいのに誰も気づいてくれなかった。
「聞こえなかった。なんだ?」
園田はベッドに乗り上げて僕に近づいた。近づいて、「なんて言った?」ともう一度聞いた。
「僕はっ、女王様じゃないっ」
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