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『甘い告白』

 すぐ側にあった枕を園田に投げ付けたけど、それを園田は片手で受け止めて横に投げると、僕をベッドに押し倒した。 「女王様でいいんだよ」  意地悪く口端を上げて笑う。 「……何で、いいんだよ」  言い返して園田を睨みつけるが、意地悪く笑うばかりで僕が抗っても退こうとはしない。 「もう一度言え」 「女王様じゃない?」 「違う」 「何を?」  園田に求められているもう一度が何か分からない。戸惑う。見つめられていることに視線を彷徨わせて、逃げを打つが全く抵抗にならない。 「アズ」  その名前で、何を言わせたいのかが分かって、さらに抵抗するが、「言えっ」と強く言われて押さえつける手の力を強くされた。 「もう、いいから。僕の相手なんてしなくていいから」 「言えっ」  睨みつけられて、緊張して言葉が続かなかった。真剣な表情と熱い瞳に見下ろされて、視線を彷徨わせる。  両腕を押えていた腕を園田は離して、僕の顔の両側についた。 「……何度も言わない」 「言え」  両腕を突いて、見下ろす園田の顔は近い。その顔に片手を伸ばして、頬を包む。  目を細めて柔らかく園田が笑った。  その表情にキュッと胸が締め付けられた。 「テツ……ずっと、ずっと……好きだったんだ。ごめん」  締め付けられる胸の痛みにさっき止まった涙がまた溢れ出した。 「『ごめん』はいらない」

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