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『甘く、優しい』

 バタバタと手を振ろうとするが叶わない。熱い口内と舌に力は奪われてしまう。園田が口を離して顔を上げる。その唇が濡れてテラテラと光っている。 「素直に感じてろ」  ギュッと手を握り込まれて、押さえつけられて、再び口に含まれてしまった。  素直に感じてろって、もう、馴れたふりをしなくてもいいってことだろう。羞恥に声を出しても、恥ずかしがっても、大丈夫ってことで、園田もそれを望んでるってことだ。 「ああっ……あっ……ダメ。い、いきそ……」  腰を捻って抗うけど、園田は離そうとしない。余計に吸い上げられて、我慢して足先まで力が入って、内ももが痙攣する。 「……あっ……離してっ」  訴えに園田は口を離した。片方の手を離すとそれで口元を拭い、手をベッド下に手を伸ばして何かを探っている。  イキかけて放置されて、どうしたものかと荒い息を付きながら、園田の次の行動を待つ。  ベッドの下から探した出したものはオレンジ色の蓋のローション。片手でその蓋を外すと容器を逆さまにして僕の腹の下の方にこぼした。  それは馴れた行為。  分かってはいても、最初に触れられる時は緊張する。  離されたその手が、イキかけた自身を撫でて、その奥へと進む。園田が身体を倒して、僕の顔に口づける。  入口を指の腹で円を描くように撫でる。 「……ん……」  園田の唇が唇に触れて、その舌が進入してくる。口付けに合わせて、指が中に入ってくる。だけど、甘い口付けに力は抜けて、容易く進入を許してしまう。  いつもなら抵抗するのに、しなくていい。  園田に委ねて、甘く溶かされてしまえばいい。

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