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『甘く、優しい』

 情事の後に抱き合うなんて初めてだ。昨日はそのまま眠ってしまった。園田がここに運んでくれたんだろうけど、僕に記憶は無い。 「なあ、アズ………」  僕の耳元に顔を埋めた園田が小さく掠れた声で呼んだ。 「何?」 「浮気するなよ?」  園田の言い草に小さく噴出した。 「するわけ無いでしょ?……園田は……満足した?」  心と性欲が別だと言ったのは園田のほうだ。  羞恥に赤くなりながらその顔を見られないように、園田をギュッと抱き締めたまま聞いた。 「……とりあえず。な」  とりあえず。それは今のこと。今は満足したってことだ。それは、これからもあるってことだ。 「……園田……好き」  好きと言っても許されることが嬉しい。やっと許された告白に心が溢れる。僕だけに許される告白。  それがこんなにも甘く、胸が締め付けられるものだとは知らなかった。  心が満たされるなんて知らなかった。 「アズ……やっと俺のものだ」  強く抱き締め返された。 「テツ……もっと、僕を抱いて」

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