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互いでなければ
「篠宮さんも、俺のこれ好きでしょ……? 中が悦んでるの、分かるもん」
「そんな……あ、ああっ」
違うと首を振ろうとしても、熱く濡れた粘膜が、全力で彼の言葉を肯定する。
「やっ、あ……結城」
広げられた肉の環が、適度な強さで彼を締め付け、抜き差しのたびに幹の部分をしごき立てる。熱くなった粘膜が全体を包みこみ、無数の舌のようにくびれた部分を舐め上げる。奥の壁が吸いつき、時折ぴくぴくと痙攣して先端を刺激する。
身体のすべてが、彼に快楽を与え、それに相応(ふさわ)しい見返りを得ようと淫らに蠢いている。もう二人とも、互いでなければ満足できない。快感にむせぶ自身の身体と、情欲に濡れた彼の声がそれを確かに伝えていた。
「篠宮さん……!」
結城のくちびるがうなじの辺りに触れる。背中に甘い痺れが走り、篠宮は新たな快楽にのたうち回った。
「いや、あっ……あ」
首筋と背中は、篠宮が特に弱点とする性感帯のひとつだった。胸や腹と違い、鏡を使わないと見えないような場所には、自分でも触れることなどほとんどない。刺激に慣れていないということが、無防備な背面を極度に敏感にしていた。
「ああもうっ、エッチな声出しちゃって……もうイキそうなんでしょ? 奥がきゅーって締まってきた」
自分でも分かりきっている変化を、彼の口ではっきりと言葉にされ、恥ずかしさに息が詰まりそうになる。
「やっ、そんな、奥……んっ」
いつ誰が来るか分からない焦りが、情欲を昂らせる。一秒でも早く搾り取ろうとして、後孔が何度も収縮した。奥の壁が結城に巻きつき、吸い上げるようにして射精を誘う。
「あっ、結城、も……いっ、イク、イクッ……!」
我慢できず、先に達してしまう。膨れ上がった先端から、溜まりに溜まった精液が溢れ出した。
車を汚すことはないという安心感からだろうか。いつもより量が多く、歯止めが効かない。シートに敷かれたハンカチに腰を押し付け、篠宮は思いきり欲望を吐き出した。
「ん、んっ……あっ」
奥を穿たれる快感と射精の快感が混じり合い、どちらで極めたのか分からなくなる。熱く滾 った欲望が精路を通過していくたびに、内壁がぎゅっと収縮した。
「うあっ……! 締まる」
結城が声を上げるのと同時に、体内のものがどくん、と大きく震えた。
「うっ……んんっ」
身体の中で、結城のものがびくびくと脈打つ。熱い脈動を感じるたび、彼が激しい快感を得ていることがはっきりと伝わってきた。
いつもは中に射精された瞬間に頭が真っ白になってしまって、結城がどのくらい感じているか確認する余裕などない。それを知ることができたのは、彼が着けている避妊具のおかげだった。
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