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溶けていきそうな
「あっ……ああ」
後ろから、やや強引にねじ込まれる。いちど受け入れて柔らかくなった後孔は、結城の硬く張り詰めたものを、さして抵抗もなくすんなりと飲み込んだ。
柔らかい襞が、それを待っていたかのように一斉にまとわりつく。感極まったように結城が小さく声をあげた。
「生、ヤバい……一回出してなかったら、もう終わってたかも」
自分の中がひくひくと動いて、結城のものを舐め回している。阻むものがないためか、体内にある彼の形がはっきりと感じられた。
「ね……判る? 篠宮さんの中が、俺の先っぽにキスしてるよ」
上から突き下ろすように、結城がいちばん感じる場所をごりごりと擦り立ててくる。奥を突かれると声が抑えきれなくなった。
「あ、ううっ、も……だめ、おかしくなる」
「おかしくなって。篠宮さん、俺と一緒におかしくなってください」
逃げようとするたびに押さえつけられ、背後から深く突き入れられる。篠宮は耐えきれずにシーツを握り締めた。
「ふあ……あん、ああっ」
つかんだシーツをかき乱しながら、篠宮は快感にすすり泣いた。肉の環をいっぱいに広げられ、中を擦られるたびに、腰が溶けていきそうな錯覚に陥る。
「ああ、んっ、もう出そう……篠宮さん、中に出すよ」
結城が切羽詰まった声で囁いた。
中に射精される。そう思った瞬間、彼を包みこむ壁が、自分の意思とは関係なしにきゅっと締まるのを感じた。
「今、すごく締まったよ……期待してるの?」
「なっ……や、いや……あっ」
「中に欲しいんでしょ? いいよ……いっぱい出してあげる」
快感にむせび泣きながら、篠宮はシーツに顔をうずめた。彼の言うとおりだ。自分のここはそれを望んでいる。奥まで突き入れ、遠慮なくぶちまけて、熱い精液で中をどろどろに濡らしてほしいと望んでいるのだ。
「篠宮さん、気持ちいいって言って」
結城の声は悪魔のように魅力的だった。
「言って。そしたら、もっと気持ちよくなるから」
甘く誘う声に、篠宮は口を開いた。理性も羞恥もかなぐり捨て、言われるままに彼が望む言葉を紡ぎ出す。
「中が、あ……奥、気持ちいいっ……ああ、いく、イク」
あられもない言葉を口走るたび、結城の言うとおりに快感が増していく。柔らかな肉の襞が、いちど知った雄の味を再び求めて、ねっとりと絡みついた。
この中に思いきり注ぎ込んで欲しい。粘膜が柔らかく巻きつき、淫らにうねりながら彼のものをしごきたてているのが判った。
「ああっ、すごいよ。篠宮さん、俺も……んっ、出すよ」
結城のものが体内でふくれあがった瞬間、篠宮は絶頂に達した。
「いやあっ、熱っ……んん、ああっ!」
熱い液体が勢いよく最奥に叩きつけられる。待ち望んだ、粘膜を濡らされる感覚に頭が真っ白になった。蕩けきった肉が快感にわななく。
「すごい、まだ出てる……」
大きく脈打ちながら、結城のものが断続的に射精を繰り返す。湿った内壁がざわざわと蠢き、結城の根元から先端までを余す所なくしごき上げた。後孔が何度も収縮し、最後の一滴まで搾り上げようとする。
「あっ、んん……う」
欲望の証をすべて受け止めると、篠宮は脱力しきってベッドに身体を投げ出した。余韻と言うには激しすぎて、すぐには動けそうもない。
「もうっ、気持ち良すぎだよ……篠宮さんの中」
結城がひたいの汗を拭った。
「吸い出されてるみたいだった……いっぺんにこんなに出たの、初めてかも」
そう言って、結城が篠宮にティッシュの箱を差し出す。まだ息を乱したまま、篠宮はベッドに手をついてなんとか上半身を起こした。シーツにべったりと白いものが付いている。
「済まない……汚してしまった」
「いいんですよ。俺のでいっぱい感じてくれたんですよね」
結城は満足そうに笑みを浮かべた。疲れた様子もなく立ち上がると、裸のままドアへと向かう。
「のど渇いたでしょ。なんか持ってきますね。少し休んだら、一緒にシャワー浴びましょう」
「……ああ」
「あ、そうだ。篠宮さん」
台所に行こうとした彼が、なにか思い出したように再び顔をのぞかせた。
「篠宮さんって、普段はあんな感じなのに、ベッドの上になるとめちゃめちゃ乱れるんですね」
結城がそう言ってウインクする。篠宮は真っ赤になった。
「ばっ、馬鹿……!」
「たまりませんよ。もう離しませんからね。覚悟してください」
楽しそうに肩を揺らしながら、結城は台所に向かって歩いていった。
◇◇◇
朝の光の中で、篠宮は眼を醒ました。
ベッドに片肘をついて身体を起こす。裸の胸が露わになった。腰から下も、何も着ていない。昨夜シャワーを浴びた後、結城の睦言を聞きながらそのまま眠ってしまったのだ。
扉の向こうから、パンとベーコンの焼ける匂いがする。結城はもう起きて、朝食を用意しているのだろう。
すぐそばのテーブルを見ると、服が一式揃えてあるのが眼に入った。下着と靴下だけは、袋に入った新しい物が置いてある。自分の着替えがないことを篠宮は思い出した。元々、泊まる気などなかったのだから仕方ない。
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