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彼のためだけに
「篠宮さん、身体起こして……篠宮さんの感じやすい背中、後ろから抱っこしてあげる」
結城の腕に助けられながら、篠宮は上体を起こして膝立ちになった。恋人の胸が、ぴったりと背中に密着する。先ほど塗られたオイルが体温で温まって、微かに花のような芳香を漂わせた。
「動くよ」
労わるような声が耳許で響いた。
「あ、結城……ああっ」
緩やかな動きで後ろから抜き差しされ、思わず甘い吐息がこぼれる。敏感な内側の粘膜が早くも蕩け始めた。脚を閉じているせいか、中を穿ってくる結城のものがいつもより太く感じられる。
「馬鹿、なんでこんな太くなって……動くな、あっ」
「俺のが太いんじゃなくて、篠宮さんの中が狭いんだよ。篠宮さんこそ、そんなに締めつけないで」
逃げられないよう肩を押さえ込み、いちばん感じる奥の部分を結城が容赦なく突き上げてくる。膨らんだ先端に中を広げられる快感に、篠宮は悲鳴をあげた。
「あっ、大き……そんな、奥まで」
「だからぁ。俺のが大きいんじゃなくて、篠宮さんの中が吸いついて奥まで誘ってるんだってば。ほんと、ゴムしてなかったらヤバい……!」
いつものように焦らすことも忘れた様子で、結城が感極まった声を出す。続けざまに奥を小突かれ、身体の内側が細かく収縮し始めた。絶頂が近いという合図だ。
「奥が締まってきたよ……もうイキそうなの? 中、トロトロで熱くって……ほんと俺たち、最高の相性だって思わない?」
「いや、結城、ああっ」
我慢できずに、篠宮は背を仰け反らせて喘いだ。頭で理解するより、繋がったこの部分が何よりも、彼の言葉が真実だということを教えてくれる。
「あっ、あ……結城」
受け入れる時はしっかりと咥えこんで吸いつき、抜かれる時は名残惜しそうに追いすがる。じっとしていても中が蠕動し、根元から舐めるようにしごき立てる。この淫らな身体が彼のためだけに存在するという事実に、たまらない誇らしさを感じた。
「感じてる篠宮さん、可愛い……もっと感じてよ」
指先で胸の突起をつままれ、うなじにキスをされ、右手で前をゆるゆると扱かれる。性感帯と呼ばれる場所をいっぺんに刺激され、篠宮は灼けつくような快感に身をよじった。
「いやっ、やめ……あ、あっ」
もがくたびに背後から抱えこまれ、快楽の逃げ道をふさがれていく。身体の内側がびくびくと震え、これ以上の我慢は無理だと訴えた。
「篠宮さん、なんか忘れてない? いっぱい触ってもらって感じちゃった時は、なんて言うの?」
結城がわざと意地悪い声を出して呟く。今まで何度も教えられた、快楽を告げる言葉が口からこぼれ落ちた。
「あっ、気持ちい、結城……!」
「もっと言って。ああ、俺も気持ちいい……! もうイッちゃいそうだよ、篠宮さん」
「気持ちい、あ……いやっ、ナカおかしくなる、結城……! いっ、いく……イくっ」
掠れた声で絶頂を告げ、篠宮は結城の手のひらに白い蜜を吐き出した。
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