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第14話
「叶、大丈夫?」
ぽかんとしていた私の顔を杉原先輩が覗き混んできした。
「あ、大丈夫です……」
本当はちっとも大丈夫ではありませんでした。
自分のあまりのひ弱さに自己嫌悪に陥っていたんです。
そして、皆さんや私に巻き込まれて杉原先輩にまで、とても迷惑をかけてしまいました。
(何をやってるのでしょう、私は……)
ここまで焦ったことは今まであまり体験したことがありませんでした。
これでは執事喫茶に行くにも地図を持っていませんし、お店の名前すら私は知らないからです。
スマートフォンで調べようがありません。
先輩は落ち込んでいる私に笑っていながら言いました。
「まぁしょうがないデショ、ハプニングだし。ガッコ戻ろ!!」
パンパンと私の肩を叩き『こういうこともあるからね?』と慰めてくれました。
(……杉原先輩は私が心配になって、ホームに降りてくれたのでしょうか?)
先輩の思っていることは本人にしか分からないですが、私は勝手にそう解釈することにしました。
そして悪い噂だけの杉原先輩じゃないんですね、と私はそう確信しました。
(本当の杉原先輩は優しいんです)
皆さん、こんな優しい杉原先輩を知らないなんて勿体ないです。
先輩をもっとよく見てほしいと私はそう感じていました。
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