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第28話
結局こうなってしまいました。
杉原先輩は私の横を歩いています。
多分……私はどこかで、この杉原先輩に甘えてしまっていました。
(あのお父さんの言葉、本当なんでしょう)
先輩は違うとは言わないですし、多分先輩は私の過去を多少は知っているんだろうと思います。
そうではなかったら、あの教室に父さんを足止めはしなかったでしょう。
沈黙を破ったのは、先輩でした。
「叶、少しだけ話してもいい?」
「……過去のことはは忘れたいんです」
「それは、逃げているだけだよ」
「……そうですね」
今だって逃げ出したい気分でいっぱいです。
偶然出会って、ただの先輩と後輩でいたかったのに、違ったからです。
「叶」
「あそこの公園ででしたら、少しだけ話してもいいです」
私が指を指した小さな公園には、人気もなく遊具が沢山ある子供向けの公園です。
あそこでしたら、まず人に話を聞かれなでしょう。
「……叶」
「勘違いしないでくださいね、私は杉原先輩を信用していませんし、これからも私は誰も信用しません」
本当はいつか先輩を信じたいです、そう思ってます。
「いいよ、それでも」
多分……先輩はあの笑顔を私に向けているのでしょう、この暗い夜の中では私には見えていませんでしたが、それでも分かってしまうくらい私の中で杉原先輩という存在がが大きいものになっていました。
「……」
「帰りが遅くなるから、早めに話そう」
先輩の声はいつもより優しいトーンで少し私は落ち着いてしまいました。
ですがそれでも私の身体はまだ強張っていました。
しかし逃げるわけにもいかずに、杉原先輩の後を追って公園に入りました。
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