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第38話
前を歩く杉原先輩の表情は、見えないので分かりません。
ただ……なんなくとですが何時もと雰囲気が違うのは分かります。
ですか、人というものは行き来が分からないと不安な生き物なので、聞くだけは聞いてみることにしました。
「杉原先輩先輩、どこに行くんですか?」
「卓球部だよ」
……口調は何時も通りで内心ホッとしました。
ですが、何故卓球部なのでしょうか?
「先輩、卓球好きなのですか?」
「どっちでもないかな」
卓球部でしたら催しの内容は試合とか、打ち合いとかでしょうか?
……考えてるうちに着いてしまいました。
しかも催しも全く卓球部とは関係が無くて、出ていた看板は、
「……『プラネタリウム』ですか?」
卓球部は体育館倉庫の隣にある、剣道部の剣道場の二階にありました。
申し訳りませんが、私はその卓球部がこの学校に存在していたことを知りませんでした。
先輩はその卓球部のドアの鍵を開けて入っていきます。
「心底の卓球好きには悪いけど、ヤツの被害者達はこの場所が安全だからたまに集ってたんだよ」
『何せ同志だから?』と困ったような笑顔で私を見下ろします。
その部室には何故か暗幕、そして重要な卓球台が隅に一台だけあります 。
「杉原先輩、部員は何処ですか?」
「今は俺だけ」
「では顧問の先生は……」
「鈴木 佑実」
え?
「何故、どうして先輩が鍵を持ってるんですか?」
「部員だから」
『先生ではなく、何故生徒の杉原先輩が持っているのですか?』という意味だったのですが、伝わらなかったでしょうか?
杉原先輩は部室の棚にあった立方体の箱から、家庭用プラネタリウムの機械を取り出して、プラグに繋ぎました。
「叶、その辺に寝ちゃっていいよ。電気消すから」
私は言われた通り床に寝そべり、先輩は電気をしました………。
カチッとスイッチが入る音がすると、部室には夜空が広がりました。
私は思っていたよりも綺麗なそのブラネタリウムに、私は感動して星に手を伸ばしました。
「うわぁ……、綺麗ですっ!!」
「残念ながら一年前に音声が壊れちゃったけどね」
杉原先輩も私の向かいに寝そべっりました。
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