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第39話

「叶」 「……はい」 きっとこれからまた大切な話をするのでしょう、心しておかなければいけません。 「亮の部屋に写真があったんだ」 「ぇ……」 「中学生の叶の笑ってる『綺麗』な写真と、……性器の」 ……え……? 私は固まってしまいました。確か、写真はお父さんが全て処分させたはず……でした。 「亮のヤツ、隠して持ってたんだ」 「そう……ですか」 その事実を知らされた私は茫然としてしまいました。 お父さんの力でも捩じ伏せられないことがあることも知りました。 ……それは私が虐めを受けていたということが真実だからなんだと思います。 「俺帰ってからすぐ、亮の部屋にドアぶっ壊して入ったんだ。そしたら……亮がさ、その写真で……ヌいてた」 「……」 「その写真見付けて、ショック受けて……気が付いたら、亮に一発殴られててさ。したらちょームカついて、ボコッてた。亮のこと」 杉原先輩は掠れた声で話していました。 まるで自分が罪を犯して、懺悔をしているかのように。 「これでも叶は、俺のこと今まで通りに、慕っててくれる?……ホントにサイテーな兄弟だよっ!!」 「……先輩は何故亮を殴っちゃったんですか?」 お母さんが違うとはいえ、大切な義理の弟だったはずです。 「大切な亮を駄目にした私を虐める為に、沢山頑張ったんですよね…」 「……なんだ」 先輩は苦しそうに泣いていました。 「……すきなんだ……っ」 「誰が、ですか……?」 「かなえがっ、すきなんだっ……」 「……誰が誰を……好きなんですか?」 「俺はっ、叶が好きなんだ……」 「……そうだったんですか」 杉原先輩は、杉原 俊は、まるで子供みたいでした。 子供がそのまま大きくなったような感じではないでしょうか。 「……せんぱい、泣かないで」 私は手を伸ばして、寝そべって苦しそうに泣く先輩の頭を優しく撫でました。 「杉原先輩」 先輩は自分の逞しい腕で涙を拭いました。 「……慰めないでくれっ、俺は調子に乗るよ?」

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