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第59話 晴れた日とデートの心の動き。

私の生まれて初めてのデートは晴れてしまいました。 (デートだからって私は照れてたりなんかはしないです。多分……) 杉原先輩と出掛けられるのは、とてもとても嬉しいですが、それがデートというと……何故か顔が熱くものでした。 そしてとても緊張している感じがします。 先輩に言われた通り、洋服の代金は現金できっちり用意して封筒に入れました。 お財布には現金で一万円用意しました。 電車に多分乗るだろうと思ったので一応小銭とSuicaも持参したほうがいいでしょうか。 あと何か身分証になるものを用意した方が良いかと思い、学生証も鞄に仕舞いました。 先輩から、『今日の朝になってからじゃないと着たらダメだから!』と念を推された服は、モノクロで同一されていて、自分では似合っているのかそうではないのか分かりませんでした。 (………フードのついた服なんて、初めての着ました) 私の私服はブラウスとカーディガンばかりです。 それにしても、ネコのような耳がそのフードについていて、これは子供っぽいのではないかと反論しましたが、先輩は『可愛いから叶には似合うよ』なんて自信があるように言ってくれたので、購入してしまいました。 私は今まで『可愛い』と言われても、嬉しいとか恥ずかしいとか思わなくて、むしろ気分が優れない気持ちになっていましたが、杉原先輩に誉めてもらっているんだと思うと思うと嬉しくなり、私はどうかしてしまったのではないかと思います。 (『男』が『男』に可愛いなんて、……嬉しいことがあるのでしょうか) その感情はどことなく分かる気もしないでもないです。 先輩が好きだと言ってくれて、泣いてしまったとき……正直に言うと可愛いと思ってしまっていましたから。 ですがそれが恋愛感情であるかは私にはまるで理解不能で、杉原先輩に対する『特別』が恋愛感情のものなのかも理解出来ていませんでした。   トントン、部屋をノックする音です。 「叶さま、ご学友が門の前にいらしていましたので、勝手だとは重々承知でリビングにお通しいたしました」 「えっ?!」 私はもうそんな時間になってしまったのかと思い、あわてて時計を見ました。 早い!! 早いですよ杉原先輩!! 迎えに来てくれるはずの時間まで、あと30分はありますよ?! という私ももうほとんど用意が出来ていたのですが……。 私は急いで完璧に準備をして自室を出ました。

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