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第70話
「ごめん……。小雪さん茶室借りていい?」
先輩は今何をしようとしているのでしょう……。
私はその思いを言葉にしていないのに、先輩は困ったように笑ってからこう言いました。
「大丈夫だよ!精神統一するだけ」
と、まるで私の心を読んだかのような言葉が帰ってきてしまって……素直に驚いてしまいました。
……ですが杉原先輩が私の言葉にしない気持ちを読んだり、私の表情を見破ってしまうことは今までに何回も合ったことだと思い出した。
「私に了解をとらなくても、俊さんですから大丈夫でしょう」
「あれ、……見抜かれてる?」
「部屋に着物も用意してありますよ……一応『母親』です。俊さんの気持ちは、ある程度でしたら分かるつもりでいますから」
「……まさか椿油まで?」
「勿論です!!」
『さあさあ、俊さんは精神統一!!』と『小雪さん』は襖を開けて杉原先輩を追い出そうとしています。
「叶、小雪さんにも気を付けてね!!」
……その念の押し方はまるで『鈴木先生』のときのようでした。
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