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第73話

「……それは子供のことかしら?」 小雪さんは即時に返してくれたので、それに私は頷きました。 「『男女』の間でも作らない、作れない人達もいますよ?」 小雪さんは先輩がよく私に見せる、あの困った笑顔になる。 「私は卑怯、あの子の父親の変わりに『あの人の子供が欲しい』なんて思ってわざと孕んだのよ。『最低な女』なんです。でも違いました、『あの人はあの人』で『あの子はあの子』。変わりなんてなれないんです。」 「……」 私は黙って聞いていました。 「叶さんはあの子の変わりに『親しい人』……、『特別』が欲しいかしら?」 「杉原先輩の変わりなんて欲しくないです」 私ははっきりとそう言葉にしました。 「そうですか?なら形なんて残さなくてもいいですよね。側に相手がいてくれさえすれば」 「……ですが、同性では『結婚』も出来ないです」 ……あれ? また間が出来てしまいました。(あ……!!) そうでした!! 小雪さんは結婚せずに杉原先輩を身籠っています……!! 私の言葉は人をキズを付けてしまいます。 それは、小雪さんでも………。 「大丈夫です叶さん、私はキズ付いたりしないわ」 「!!」 「………叶さん、私は心は読めたりしないし、私が『妖怪』に見えるかしら?」 では何故こうして言葉が読めるのか……私は不思議で仕方がありませんでした。 「『場の空気を読む』ようにしてます。茶人はその『場の空気を読む』ことが必要なのです」 ……場の空気を読む、ですか。 「だからあの子にも、言い聞かせているのよ」 「え?どうしてですか……」 何故杉原先輩に『場の空気を読む』ことを教えているのか、私は不思議に思いまし。 小雪さんはその質問に即座に答えてくれました。 「あの子……、俊さんがこの家の跡取りだからです」

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