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第81話

今、ガタリと脱衣場から音がしました。 「!!」 (杉原先輩でしょうか?それとも小雪さんでしょうか) ですが、どちらでもなかったみたいです。 「紅葉?いつ帰ってきたんだよ。帰ってきたなら言えっていっただろ」 えっ?! 誰でしょうか……?! 「えっと!私は、杉原先輩の友達です!!」   と、同時にお風呂場の扉が開くと、そこには……誰か知らない男の人の姿がありました。 「……誰?」 とりあえずは、狼狽えても仕方がないので、いつものように私は笑顔を作りました。 「後輩です、あのお茶を膝に溢してしまって、お風呂お借りしていますっ」 茶人ならば作り笑顔は通用しないでしょうか? そう思ったのですが、その方は笑顔で私に話しかけてきました。 「へぇ、俊も『紅葉』と血争えないか。母親がいる実家に男連れ込むなんてねぇ?」 「違いますっ!!」 私は浴槽の中で膝をついて反論しました。 「杉原先輩は連れ込むなんて、そんなことしません!!」 「そうなの?じゃ、なんでマーキングされてつけてるわけ。説得力ないでしょ」 クスリと嫌な目付きで、左の首筋を指差を刺されてしまいました。 あっ、これ。 一昨日のキスマークです……。 私は一気に恥ずかしくなってしまい、首筋を押さえてお湯に浸かりました。 「あのっ……見ないでください」 急に弱々しくなった私見て、その男の人は楽しそうに笑います。 「免疫なさそう。そうだね、若者はこうでないとさ。俊はつまんないし」 まるで楽しいオモチャを見付けたように、とても楽しそうでした。

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