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【鈴蘭の間】4

上着の下端にまで飛び散った白濁を一瞥して零次は半身を起こす。 小粋を包んでいた筈の長襦袢は腰紐が解け、すっかり全開だ。 首の下から胴の中央に並ぶ結び目と結び目の間の整った菱形が美しい。 それに、白い体に赤い縄が非常によく映えている。 一番下の結び目の下では、たった今射精したばかりの小粋のモノがだらしなく腹の上に乗っている。 そんな媚態を見下ろしながら、零次は上着から袖を抜き、無造作に放り投げた 「───いい眺めだ」 続いてネクタイを緩め、しゅるりと音を上げて抜き取って、その儘布団の上へと落とす。 一つ結び目を上に辿ると、ぽかりと凹んだ可愛らしく小さなへそ。 「ッ──は、っくのぼぅ、が」 「馬鹿の一つ覚えのように同じ事ばかり言う」 「五月蠅い、」 「ほら、また」 Yシャツのボタンに手を掛け、ゆっくりと一つ一つ外していきながら耳を擽る悪態を聞き流す。 また結び目を上に辿ると、薄く肋が浮いている。骨の形が透けて見える程に肉付きが悪い。 「────黙れ。もうすぐ抑制剤が完全に切れる、そしたらお前はどうなると思う。気が狂ったように僕を掻き抱くしかなくなる、────無様に」 Yシャツを脱ぐ事はせず、前だけを全開にしてバックルへと手を伸ばし、ベルト穴から美錠を抜く。 鈴が下がった小粋の突起は未だに赤く充血し、天に向いて硬く尖った儘だ。 後ろ手に縛られた左腕は肘までしか見えず、その先は小粋の体の下に敷かれている。 「零次だ」 「獣のように」 黒の革ベルトを引き抜き、ファスナーを開いて前を寛げながら、下方から上方に向かって視線を流し続ける。 肋と同じく浮いた鎖骨、張り出した喉仏。 「小粋」 噛み合わず、会話とも呼べない一方通行の煽りの後で、鋭い眼光で見上げる小粋と零次の目が合う。 その直後だった。 「っ───!」 小粋が怯えるように目を見開くと、みるみる内に泪に濡れ、表情を恍惚と苦悶で染め上げた。 遅れて、すっかり嗅覚を戻した零次の鼻が、甘く強い芳香を嗅ぎ取る。 空気に交じって色が見える程に濃い色香が零次の鼻孔を抜け、肺に流れ込む。 それは煙草とはまるで違う独特の重みを持って肺の底に淀み沈む。 ──零次の視床下部に刺激を与えたのは、抑制から解き放たれ、真の姿を現した発情期による小粋の濃厚なフェロモン。 「か、はッ……、っ!」 細い首を掴むように小粋の喉元を押さえ込んで、零次は真っ赤に充血した耳に口を寄せる。 「油断すんなよ、」 「ッ、く、はっ──?」 呼吸を阻害され、身の危険を感じた小粋が零次の下で藻掻き暴れる。 だが、予め施されていた緊縛によって、ほぼほぼ無力化されてしまう。 零次が吐く言葉の意味を理解出来ずに困惑と、そして恐怖を浮かべて表情を歪める。 首を掴んだ零次の手を引き剥がそうと、自由の利く右手で太い手首を掴むが、確りと力の入った其はびくともしない。 「トんでも良いが、ちゃんと首を護るのを忘れるな、──最後まで楽しませろ、高かったンだ。──、ッ」 「ッ、あ゙、ぃ───、っッ!」 甘く囁き終えると同時に、首を掴む力を緩める。 間髪入れずに、零次のいきり立った肉棒が、触れも慣らしもしないのに、ふやけた孔を貫く。 纏わりつく内壁を逆行し、捲り上げながらずぶずぶと。 ふやけただけの閉じた孔を無理くり押し広げ、肉を割って侵入する零次の肉棒によって、串刺すような痛みが小粋を襲う。 ぎりぎりと零次の手首に爪を立て食い込ませて耐えるが、腹の底から湧いた猛烈な痛みは尚もギツギツと続く。 「い゙ィ、てっ、ぇ゙……、──!」 「、っお味はいかがかな」 「くっ、──そ、ふざけ、な、」 二人の額に、じっとりと汗が滲む。 無理に押し入った中は生娘のように狭く、みちみちと零次のモノを締め上げ、快感とはかけ離れた痛みを与えた。 侵入を拒む様でありながら、押し入るのも、引き下がるのも許さないと言わんばかりにまとわりつく。 「っ、息を吐け、痛い」 「イ゙、ぃ、ッ──、!……強っ引、にッ──…入れ、ッる……から、だっ……!っ、は、ッく」 小粋の耳元で零次の苦し気な呻きが漏れるのが、いやに頭に甘く響く。 意図せず中を締め上げた事で、ガラスでも仕込まれたのかと思う程の鋭く激しい痛みが小粋を貫く。 それでも減らず口を叩きながら、やっとの思いで呼吸を吐いた刹那、一度ずるりと引き抜かれた肉棒が最奥目掛けて勢い良く突き上げる。 「い゙ィイ゙ッ、あ゙っ、──────、っあ、ンっ、ンん、」 再び小粋を痛烈が襲うが、奥を突く小さな律動で互いの分泌液が混ざり合い、徐々に甘さを齎し始める。 「っあ、あ、ッン、んん」 「───、っは、良い子だ、」 「ッッ、んぁっ、あ、」 嬌声へと変わった小粋の声を聞くのと同時に、中の締め上げが緩んだのを良い事に、零次は探る様に内壁を突き撫で始める。 すると、ほんの少し出っ張った、微かに弾力を持つ一点にぶつかる。 そこを掠めた時、小粋が一際大きく鳴き上げた。 「──ア゙、ああ゙!?、ッ──、ひ、やめッ……、あ!っ、あ゙ぁ、」  

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