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第12話 見えない鎖 <捕縛> 1~ Side M

 あーぁ、そこまで頼んでないのに…。  草むらの中に連れ込まれ、犯される白根さんの姿に、思わず笑ってしまった。  犯されて喘ぐ姿に、興奮した。  俺以外の男根を飲み込んで、無意識に快楽を求め、腰を振る。  いやらしすぎる、その姿に、興奮しすぎた俺の背を、汗が伝っていた。  やっぱり、そうなるよね。  その顔には…、敵わない、よね?  そう、思った。  草むらに連れて行かれた俺の上司、白根(しらね) 春次(しゅんじ)。  助けになんて、行かなかった。  だって、毎日痴漢していたのは、俺、…だから。  俺は、貴方を手に…入れたかったんだ。  どんな手を使ってでも……、ね。  そして、パーカーを着た男は、俺の、…弟。  従順な俺の、手駒。  何度も何度も、痴漢をしても、その先には進めなくて。  何か白根さんを貶める方法を、考えていた。  白根さんが、痴漢撃退に近くの人間の足を踏みつけることを知っていた。  だから、弟たちに、協力させた。  スマートフォンから消去する前に、俺に送らせた弟からの写真。  そこには、ぐちゃぐちゃに汚れた白根さん。  ぐぐっと、無意識に上がる俺の口角。  思わず口許を手で覆った。  顔がニヤけるのを止める事なんて、出来なかった。  これで、白根さんは、俺の…ものだ。  痴態の映った写真を手に、白根さんを脅す。  白根さんは、まんまと俺の罠に、嵌ってくれた……。  世の中の荒波に揉まれたオジサンの貴方は、ガチガチの固い頭が邪魔をする。  常識、世間体、そんなものばかりを意識する。  そんな白根さんなら、こんな恥ずかしい写真、ばらまかれたら、死ねるでしょ?  若者のような柔軟さなんて、微塵もない。  男同士…、同性同士の恋愛なんて、異色な物と、嫌悪を示し、拒絶するコトだろう。  理屈で説明できないコトなんて、世の中に山ほどあるのに。  存在しない心など、証明のしようがないのに。  “好き”…そんな単純な一言で、貴方を絆せるなんて思ってない。  大好きだよ。白根さん…。  白根さんは、知らなくていい。  俺の脅しに、屈し続けてくれればいい。  それが貴方を縛る理由になるのなら。  理由なんてなんだっていいんだ。  俺は曲がった想いを、貴方にぶつける。  応えて欲しいなんて、思わない。  でも、逃がしも…、しない。  一生、貴方を絆せないなら、見えない鎖で繋ぐだけ。  常識の外に出るのが怖い貴方は、俺の鎖を外せない。  見えない鎖に囚われて、見えない鎖のせいにして。  俺の足許で、怯え、ひざまづいて居ればいい。

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