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第30話 現実の鎖 <お散歩> 4
白根さんを、家へと向かう電車へと乗せた。
乗車口の直ぐ側。車イス用のスペースの角に白根さんを追いやった。
白根さんの姿を隠すように、身体をつけた。
角に向いた白根さんを後ろから抱き込むように。
休日の夕方なのに、電車は相変わらず混んでいた。
好都合……。
これだけ混んでいれば、密着していても、変には思われない。
角に押しやられた白根さんは、嫌そうに俺を振り返る。
不機嫌気味の、嫌悪感たっぷりの白根さんの瞳は、…堪らない。
シャツの隙間から、チラチラと見える白い首輪。
白根さんの名前に、ぴったりな真っ白な首輪……。
首の後ろからシャツの隙間に指を差し込み、首輪にぶら下がるチェーンに、引っ掛けた。
「……っ」
背に擦れたチェーンの感触に、驚いた白根さんが息を零した。
首輪の重みとチェーンの自重が、指に掛かる。
思わず、ふふっと笑みを溢した。
白根さんは、俺の行為に抗議の瞳を向ける。
キッと睨みつける瞳に、お仕置きの意味を込め、白根さんのポケットへと手を差し込んだ。
リモコンを手に取り、カチカチッとローターの振動を上げた。
「ンッ…ふっ………」
白根さんは慌て、口を押さえた。
ローターの上がった振動に、白根さんの膝が、かくっと頽れる。
「ぅっぐ……」
首輪の直ぐ側のチェーンを掴んでいた俺。
白根さんは、自分でしゃがみ、自分の首を絞めてしまう。
苦しさに、白根さんの首が仰け反った。
色気を伴う潤んだ瞳が、睨むように俺を見やった。
ぞくっとする痺れた感覚が、心を煽る。
たまらない……。堪え、られない……。
ふわりと、白根さんの尻に触れた。
瞬間、白根さんの肩が、びくっと震えた。
困惑したような白根さんの瞳が、俺を見る。
「ははっ。気づいちゃいました?」
にっこりと笑みながら放つ俺の言葉に、白根さんは、悔しそうに顔を歪めた。
「正解……」
そっと白根さんの耳許に唇を寄せ、囁いた。
「ずっと痴漢してたの……僕、でした」
ギリッと白根さんの奥歯が音を立てた。
悔しさと恥辱に塗れ歪む顔が、堪らなく俺を煽り立てた。
「限界……」
白根さんの家まで我慢しようと思っていたのに。
俺は、ガチガチに勃起したペニスを白根さんの尻に擦り付けた。
「待っ……、抹樹っ…」
慌てふためく白根さんの様子に、笑みが零れる。
「協力…、して下さい。バレないように、しますから……」
そう言って、白根さんのリードを下に向けて、少し引いた。
引き摺られ、首が締まる感触に、白根さんは少しだけ腰を落とした。
俺は、ジーンズのファスナーを開け、隙間から無理矢理に張り詰めたペニスを引きずり出す。
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