30 / 90

第30話 現実の鎖 <お散歩> 4

 白根さんを、家へと向かう電車へと乗せた。  乗車口の直ぐ側。車イス用のスペースの角に白根さんを追いやった。  白根さんの姿を隠すように、身体をつけた。  角に向いた白根さんを後ろから抱き込むように。  休日の夕方なのに、電車は相変わらず混んでいた。  好都合……。  これだけ混んでいれば、密着していても、変には思われない。  角に押しやられた白根さんは、嫌そうに俺を振り返る。  不機嫌気味の、嫌悪感たっぷりの白根さんの瞳は、…堪らない。  シャツの隙間から、チラチラと見える白い首輪。  白根さんの名前に、ぴったりな真っ白な首輪……。  首の後ろからシャツの隙間に指を差し込み、首輪にぶら下がるチェーンに、引っ掛けた。 「……っ」  背に擦れたチェーンの感触に、驚いた白根さんが息を零した。  首輪の重みとチェーンの自重が、指に掛かる。  思わず、ふふっと笑みを溢した。  白根さんは、俺の行為に抗議の瞳を向ける。  キッと睨みつける瞳に、お仕置きの意味を込め、白根さんのポケットへと手を差し込んだ。  リモコンを手に取り、カチカチッとローターの振動を上げた。 「ンッ…ふっ………」  白根さんは慌て、口を押さえた。  ローターの上がった振動に、白根さんの膝が、かくっと頽れる。 「ぅっぐ……」  首輪の直ぐ側のチェーンを掴んでいた俺。  白根さんは、自分でしゃがみ、自分の首を絞めてしまう。  苦しさに、白根さんの首が仰け反った。  色気を伴う潤んだ瞳が、睨むように俺を見やった。  ぞくっとする痺れた感覚が、心を煽る。  たまらない……。堪え、られない……。  ふわりと、白根さんの尻に触れた。  瞬間、白根さんの肩が、びくっと震えた。  困惑したような白根さんの瞳が、俺を見る。 「ははっ。気づいちゃいました?」  にっこりと笑みながら放つ俺の言葉に、白根さんは、悔しそうに顔を歪めた。 「正解……」  そっと白根さんの耳許に唇を寄せ、囁いた。 「ずっと痴漢してたの……僕、でした」  ギリッと白根さんの奥歯が音を立てた。  悔しさと恥辱に塗れ歪む顔が、堪らなく俺を煽り立てた。 「限界……」  白根さんの家まで我慢しようと思っていたのに。  俺は、ガチガチに勃起したペニスを白根さんの尻に擦り付けた。 「待っ……、抹樹っ…」  慌てふためく白根さんの様子に、笑みが零れる。 「協力…、して下さい。バレないように、しますから……」  そう言って、白根さんのリードを下に向けて、少し引いた。  引き摺られ、首が締まる感触に、白根さんは少しだけ腰を落とした。  俺は、ジーンズのファスナーを開け、隙間から無理矢理に張り詰めたペニスを引きずり出す。

ともだちにシェアしよう!