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第35話 現実の鎖 <お散歩> 9

 座り込んだ白根さんのアナルから、どろっとした俺の精液が、漏れ零れた。  無理…、させ過ぎたかな。  溢れた精液をトイレットペーパーで拭った。  白根さんは酔っぱらいのように、便器を抱え、踞っていた。  俺は、白根さんの脇に手を挿し込み、立ち上がるように促した。  白根さんは、嫌がりながらも身体を起こし、俺の腕を振り払い、壁に背を預けた。  ずり下げられた下着とジーンズを震える手で、直す。  身支度を整え、白根さんは、はぁっと面倒そうな息を吐く。 「帰りましょうか」 「触るな……っ」  にっこりと笑い、腰を抱こうとする俺の手を、白根さんは撥ね退けた。 「歩けないし、帰れないでしょ?」  呆れたように放つ俺の言葉に、白根さんは、諦めるように溜め息を吐く。  腰と壁の間に腕を挿し込み、汚れたところを隠すように俺は、着ていたパーカーを白根さんの腰に巻いた。  公園のトイレからほんの数十メートルで、白根さんの住むアパートに辿り着く。 「もういい。放せっ」  白根さんの部屋は3階。  このアパートに、エレベータは存在しない。  白根さんは俺の腕から逃げると、階段の手摺を両手で掴んだ。  怠そうに、足を上げ、ゆっくりと階段を上がっていく。  3段ほど上がった辺りで、俺は、白根さんを追いかけ、腰を抱いた。  白根さんの怪訝な瞳が、俺を見やった。 「部屋まで送ります」  にっこりと微笑み、腰に回した手に力を入れた。  振り解きたいけど、力が入らない。  そんな雰囲気のままに、白根さんは俺に送られることを、現状を、飲み込んだ。 「鍵は?」  首を傾げる俺に、白根さんは、溜め息を吐きながら、ポケットを弄った。  何の色気もない革のキーケースから、家の鍵を選択し、開錠する。  扉を開け、玄関の段差に、白根さんを座らせた。  正面にしゃがみ込み、首に手を伸ばす俺に、白根さんは身体を反らせ、逃げた。  怯えたような瞳を、俺に向ける。 「何もしないですって。首輪、外すだけです」

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