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第54話 ちぎりたい鎖 <暴露> 4~ Side S
結局、下肢に纏っていた衣服は、下着も含め全てを取り払われてしまった。
瞳を覆う黒い布も、両手の拘束もそのままに俺は、身体を暴かれる。
「どれが好きですか?」
今、俺の中に入っているのは、どの玩具なのか。
考えたくもないのに、意識が感覚に引き摺られる。
つぷり、つぷり、と飲み込まされる球体が腹の中でうねうねと蠢いた。
「ど、どれも、…好きじゃっ…ないっ」
口でどんなに否定をしても、身体は正直に揺らいでしまう。
「…そうですよね」
くすくすと笑った抹樹の指先か、俺の臍から緩やかに下腹をなぞった。
「玩具じゃ、熱いの注いでくれませんもんね? お腹満たして、くれませんもんね…?」
耳許へと寄せた唇で、淫靡な雰囲気を纏う声色で紡がれる抹樹の声。
柔らかく、優しく、労るように俺の髪を撫でる抹樹の手に、縋るように擦り寄ってしまう。
俺を苦しめるこの手に、助けを乞い撓垂れる。
「やらしいですね。腰、揺れてますよ。欲張り…ですね。″もっと″って、お強請りしてるみたいだ…」
するりと撫でられる腰骨に、鼻から甘い吐息が零れた。
自分の腰が浅ましく揺れているのを、わからない筈もない。
ずるるっと引き出された玩具に、連続して押し潰された前立線が、腰に痺れを走らせた。
「っ……、ぁあっ…」
制御しきれない身体は艶かしく揺らぎ、羞恥の思いは、肌を朱色に彩っていく。
嬌声を洩らした唇の端から、唾液が零れ滴った。
溢れる涙は、瞳を覆う黒布に浸透し、締まりのない口端から零れた涎は、締まりのない俺の顔を、さらに腑抜けにさせる。
「もぉ……無理、だ…」
熱と痺れが、身体中を這い回る。
熱に浮かされ沸騰した脳が、出口を求め涙を押し出す。
勘弁して欲しいと、無意味な許しを乞う。
「無理じゃないでしょ? まだイケますよね?」
だらだらとカウパーを零す硬く勃ち上がるペニスを指先で擽りながら、抹樹はくすくすと笑う。
「いい歳なんだ。若いお前と一緒にするな…くっ………、ぁ……」
「勃てなくて、いいですよ。メスイキすればいいだけです」
ずるずると内襞を緩く玩具で擦り上げながら、きゅっとペニスの根元を掴まれ、出口を塞がれた。
「そっち、の方が……つら、いっ……」
イきたくても、イけない。
嬲られ続ける身体は、音を上げる。
熱は身体中を駆け巡り、体力だけを削ぎ落としていく。
終わりのない快感に、呼吸すらも儘ならなくなる。
酸欠になった脳が、溶け始める。
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