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第79話 ちぎりたい鎖 <説教> 4
翌日。いつものメンツに、遊びに誘われたが、断った。
オレは腑抜けた兄が心配で、はしゃぐ気には、なれない。
もしかしたら今日は機嫌よく帰ってくるかもしれないと、根拠のない期待を胸に、早めに帰路に着く。
オレが行かないなら僕もと乗っかるように、大地も一緒に帰ってきた。
大地は自宅へ帰るものだと思っていたが、当たり前のようにオレの家に上がり込む。
オレもオレで、そんな大地を放っておく。
「なんか飲むもん、もらっていい?」
リビングの奥のキッチンへと視線を飛ばし、尋ねる大地に適当な返事をし、オレは自室へと向かった。
薄っぺらい鞄を適当に放り、制服を脱いでいく。
パンツ1枚の姿で、ベッドの上にある部屋着へと手を伸ばした。
「ひっ!」
背中に当てられたキンキンに冷えた缶の感触に、振り返り大地を睨んだ。
悪戯が成功し、にかっと笑う大地。
「お前なぁッ」
あまりの腹立たしさに、大地の手から缶を取り上げ、首筋に押し当ててやる。
「……ぴょっ」
オレの仕返しに、変な声を上げ、缶を剥がそうと暴れた大地。
オレたちは縺れるようにベッドへと転がった。
無意識に自然とマウントを取るオレ。
下着1枚で大地に覆い被さる様は、まるで盛ったオレが襲ったかのような格好となる。
はぁっと面倒臭さに息を吐き、上体を起こした。
離れようとするオレに、大地の腕が腰に絡み、さわさわと触れてくる。
「なんだよ」
いやらしさを纏う触れ方に、大地の手を払い除けた。
大地は、強情るような瞳でオレを見上げる。
「なぁ、シよ?」
可愛さアピールをするように首を傾げた大地は、再びオレの腰に触れ、緩い手つきで撫で回す。
「やだよ」
ぐっと脚に力を入れ、大地を跨ぐように立ち上がる。
とんっと床へと降り立つオレに、大地の指が背後から下着を摘まむ。
くいっと引かれる感触に、脱がされてたまるかと下着を押さえながら振り返り、大地を睨んだ。
「なんで? 胤樹は気持ちよくて、スッキリできんだから良くない?」
下着を摘まむ手を剥がし、むっとした顔のままに大地を睨める。
「ゴムつけとけば、お前にかけるコトもないし、あとも楽でしょ」
ごそごそとポケットを漁り、取り出したのは連なるコンドームだ。
ぴらぴらと振って見せる大地に、眉根を寄せた。
ヤる気満々かよ……。
オレは大地に覆い被さると見せかけ、その身体をごろりと転がしてやる。
「はぁ?」
転がされたコトに不満げな声を上げる大地を無視し、下敷きになっていた部屋着を引っこ抜く。
「そんな気に、なんねぇの」
テンション低く言葉を放つオレに、大地は、見せびらかすように持っていたコンドームを弄り、閃いたと言わんばかりの声を放つ。
「じゃあ、キメセクする?」
怪訝な気持ち丸出しの表情で、大地を見やるオレ。
「アホか。なんでそこまでしてお前とやんなきゃいけねぇんだよ」
部屋着のスウェットに脚を通しながら、言葉を繋いだ。
「そんなに掘られてぇんなら、その辺で探してこいよ……」
オレじゃなくてもいいだろうという雰囲気で話すオレに、むすぅっと拗ねた顔を見せた大地は、面白くなさそうに言葉を紡ぐ。
「抹にぃから邪魔するなって言われたんだろ?」
思わず肩を揺らし、大地を見やる。
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