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第5話 蓮の心変わり
そして月曜日。
今朝のレンの取り巻きは、前に俺が話を聞いてみた腐女子1人だけだった。
あれから新しい画像はあがってなさそうだな。ちょっと安心。
しかし。
しかし、だ。
昨日の部活帰りにレンと会った時の、あのぶっちゃけ話には、本当にぶっちゃけたこと言われた。おかげで夜眠れなかったよ。
「よぉ〜蓮、おはよ。なんだ、すげー眠そうな顔してるな。」
「あ、…まぁな。ちょっとな。」
家に帰ってから、レンからLINEが入っていたんだ。最初に見た画像じゃない、もっと濃い写メが何枚も送られてきた。いわゆるハメ撮りってヤツだな。ボカシもない、ホントのセックス動画だった。しかも、その犯されてるのが、すぐそこにいる、あのレンなんだから。
「はぁ〜まいったな。」
俺が眠れなかった理由が、もうひとつあって。
「だってよ、なんでこんなに話ししてくれるんだ?」
「んー、だって、蓮だから。」
「いや、なんで俺だからなの?」
「好きだから。」
「…ん?」
「高校に入って、最初に話ししてくれたのが、蓮だったから。その時に、…、あー、蓮のことが、好きになっちゃったんだ。」
「え?」
「だから、蓮にだったら、なんか、なんでもしてあげたくなっちゃうというか。」
「はぁ。…、は?」
っていうことを、昨日の話の流れでそのまま言われて。
夜に布団に入った時に『これって、カミングアウトってやつか?』と思ったら、さ。
女じゃないのに、可愛い男に言われて、
それまでなんも気にもしてなかったレンだったけど、急にドキドキしてきてさ。
しかもその当人のエッチな画像があんだけたくさん見せられてさ。
ずーーっとその画像全部見てたらさ、朝になっちゃんだよな。
「…、でさ、クラスにだって、こんだけ男子もいるんだし」
とレンが振り向いて、ぱっと目が合った。
俺はそのとき、ハッキリとドキーンっと体中の筋肉が音を立てた気がした。
そしてレンは、そのまま振り返った。一緒に話をしていた腐女子はこちらを見ていたが、俺の顔を見た時に、不敵な笑みを一瞬だけ見せていた。
キーンコーンカーンコーン…
お昼のチャイムが鳴った。
「レン、行こうか?」
「あ、ちょっと待って。すぐ行く〜。」
今日は勉強なんてとてもとても身に入るような心理状態じゃなかった。
とにかく平静を装うのが精一杯だった。
ホントは独りになりたかったんだけど、それ以上にレンに確かめたいことも聞きたいことも、いろいろ出てきたもんだから、なんとか落ち着きたかった、んだろうな。今からして思うと。
なんだか、時間が足りなくて、レンのことも聞きたくなったというか。本当は何を考えてて、何を言いたいのか。そういうことが全て。
そして、今から思うと、ぜんぜん周りのことが見えてなかったんだよな。
この日が、一番、時間が進むのが早かった気がした。
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