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第6話 別:腐女子だからこその、あの二人の関係が
(今までのあらすじのように思われますが、サイドストーリーです。)
キーンコーンカーンコーン…
お昼のチャイムが鳴った。
「レン、行こうか?」
「あ、ちょっと待って。すぐ行く〜。」
ピクッと、その2人の声に、私の耳が反応した。
やっぱり。私のカンに狂いはなかったみたいね。
まさかとは思ったけど、本当にここまで発展してくれるとは、私自身思ってもみない結果になったわね。
あ、私は、腐女子という噂を流している、蓮くんたちと同じクラスの、瀬川文子(あやこ)です。
去年、高校生活が始まる時に、なんだか予感はしていたの。
女子に絡まない男子が数人いるみたい、って。
そのうちのレンくん(あ、この話に合わせて、背の低い可愛い方は、カタカナで言うわね)が、話をしても様子を見ても、ちっとも感情を表さなかったのよね。無表情で一学期を終えて。だけど夏休みを終えてから、ちょっと雰囲気が変わった。なんだか色っぽくなった気がしたのよね。そこが気になってたの。
他には男っぽくなった子が数人いて、その人と話聞いたら、やっぱり、初体験済ませた人が二人いたのね。その話もちょっと詳しく聞いてみたけど、やっぱりというか、私にはなんだかフツーの男女の恋愛には食指は動かせなかった。
そんな中、色っぽくなったレンくんにターゲットを絞った訳よ。その後の私のカンは当たったことが証明されたけど。
だって、今日のあの様子みてて、何も思わない人がいる訳ないじゃない。女子の数人は、あの二人が教室を出ていく様子をじっと見てたわよ。
そして二人が姿を消した後、視線を教室に戻して、同士たちの顔を見て、『はぁ〜』ってため息ついてたもの。
私のカンが確証に変わったキッカケは、別の腐女子仲間が見せてくれた、ヌード写真だったけどね。
ネットの同人誌仲間で、マンガ作家さんの資料でヌード写真を見ていることがあるんだけど、そこにあの写真がたまたま出てきて。
「あら、この写真、どこの?」
『あー、これは別のSNSに出ていたのよ。日本人ではあるんだけど。後ろ姿でちょっと斜めの角度だったから、ちょうどいい資料なんで、ダウンロードしてきちゃった。』
「えー、いいわねえ。いつ出た画像なの?」
『日付は、たまたまだけど、ついさっきみたいね。』
「あらー、他の画像はないの?」
『えっと、私が見たのはこれ一枚だけだったわねえ。』
それを持って月曜日に、学校に行った時に、ハッと気がついた。目の前に、あのヌードの画像と同じ体がある。もしかしてあの画像はレンくんじゃないかしら。
それを確かめようとしたところ、女子に見られちゃったのよねー。
「また男の子の裸の画像?ホント好きよね〜」
って。私も話の流れでちょっと見せちゃったのが悪かったんだけど、
「…、あら…?」
って、気がついた人がいたのは、ちょっとビックリ。腐女子じゃないと思っていたけど、聞けば普通にBL好きな人が他にも居たということに。
でもレンくんって、普段めったに喋らない相手なので、イメージも全然ないんだけど、
「でも私は、可愛いと思うわよ。ちゃんと顔見たら可愛いし、小学生みたいな感じでちっちゃいから。」
「あ、そうか、ショタ好きなのね。」
「ショタというか、弟好きかな。」
「つまりはショタじゃないの。」
「でもそんな無口で真面目な、でも実はエッチな体してるって、ギャップ萌えよねw。」
「ホント、いままで全然気にもしてなかったけど、実は…みたいな展開、」
「ホントに起こるとはね〜」
「なんか、レンくん、よく見えてきたわね。」
「ちょっとあの子の裸も見てみたいわね。」
「ちょっとストレートすぎるわねw。」
「もっと画像ないのかしら。」
「本人がもっと持ってたりして。」
「投稿したのも本人かしら。」
妄想がドンドン膨らんできて、次の日には朝からレンくんに話聞きに行くところまでになっちゃったのよねえ。
ちょっとこれは、行き過ぎじゃないかと思って、謝ろうと思っていた。
それが、レンくんの方が、一枚上手だったのかしら。
女子たちがいろんなこと話し込んでも、今までと同じようにそっけない返事しかしてこなかった。
「ねえねえ、彼氏…じゃなかった、恋人っているの?」
「ん〜?恋人?いないなあ。」
「じゃあさじゃあさ、私なんかどう?(ホントは男子同士で付き合ってもらいたいんだけど、あわよくば)」
「遠慮。」
「え〜それって冷たい〜」
「だって別に要らないもん。」
「ねぇえ、レンくんって芸能人で好きな人って誰?」
「夏目雅子かなあ(父さんが言ってた人を言ってみるか。僕も知らないけど)」
「(えっと、それって誰だっけ?)」
「クラスの人で、セックスしたい人っている?(チャレンジ!どういう反応するかしら?)」
「うーんと…、セックス?…セックス?」
「(うわっエモっ!!あたしの方が恥ずかしくなっちゃうっ!)」
ことごとく女子たちの攻撃をかわしつつ反撃し撃沈させていき、三日も経つと平穏ないつもの状態に戻っていた。
お地蔵さんのあだ名はダテじゃなかった。超強力なシールドを張っていた。私も手の打ちようがなかった。
その日のお昼に、事態は急展開したのよねぇ〜。
私の横を、もう一人の蓮くん(皆から憧れの、バトミントン部の次期エースとの評判の)が風とともにいきなり通り過ぎ、レンくんの横にピタッと着くと、
「なあなあ、一緒に昼飯食べない?」
はい?蓮くんが?えぇえ〜?なにこの展開?急すぎない?
「おっ、いいね。行こうか。」
とヒョイヒョイ付いていったのが、ちょっと衝撃だった。
なにも前触れを起こさなかった、蓮くんからの突然のアプローチに、即座に受け入れたレンくん。
青天の霹靂という言葉が、瞳の水晶体にどんと書かれていたくらいに衝撃だった。
今までレンくんにアタックしていた女子たちも、
いきなり王子様にかっさらわれた事態を、
相手が王子様だから仕方がないと思い、
私達の好意(と思っている)を簡単に振り払われ、
乗り換えが早いと尻軽扱いし、
これぞBLだと絶賛したり、
お地蔵さんだったよね?とキャラ変貌に驚かれ、
女子には興味がなかったのかと思った男子もいて、
あんな笑顔を見るのは初めてだと気がついた女子もいて。
とにかく、あのたった数秒の出来事が、クラス全員の注目を浴び、
すべてを理解し納得するのに充分だった。
そして、私が期待するのは、これからのこと。
ここまでお膳立てが調ったんだもの。今後の展開が、あるハズよね。期待していいのよね。
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