11 / 27

第11話 思わず回想

 バシュッ! ラインの内側に、俺のシャトルが弾んだ。 「ゲーム!ファーストゲーム、ワンバイ、蓮、21:13。」 「くそー、今日の蓮は、ずいぶん調子いいじゃねえか。」 「へへ、まぁな。」 夏休みの最中、部活の時間。 俺は体育館でバドミントン部のコート内で、メンバーたちと練習試合していた。 大会が終わってすぐのためか、参加者は少なめだった。蓮を含めて6人。 なので今日は、先日の試合を思い出しながら、主審と線審も含めた、1つのほぼ試合方式としている。 「セカンドゲーム、ラブオール、プレイ!」 本格的な試合形式にしているために話し声はもちろん、普通のような叫び声も出すことはまず無い。床のきしむ音こすれる音はねる音が響いているだけ。それだけ、みんなも線審に集中しているところだ。 バシュッ、ピンッ、バサッ、 空中から響く音も、だいたいこんなもので、それ以外の種類の音は無い。 「サービスオーバー、16:5。」 審判も、言葉を発するだけだし、ほぼほぼ無音状態で試合は続いていく。 「ゲーム!マッチ、ワンバイ。」 蓮が連続して勝ち、今日のメンバーの中で一番の成績を残した。 「蓮、すげえな。3マッチともストレートで勝ってさあ。」 「大会はそうでもなかったのに、急にやる気スイッチ入れてきたな。」 「なに、なんか良い事でもあったの?それともイヤな事?」 たしかに、この前のレンとのセックスをしてから、すごく調子がいい。俺のアゲマンだったりして。 「なんかさ、フットワークにコツがあったみたいでさ(笑)」 って、テキトーに流した。  部活が終わって、汗を拭きながら更衣室に戻って、シャワーを浴びる。 うちの学校では、この夏休み中にシャワー室が新しくなって、壁もキレイになって、朝から夜まで温水がちゃんと出るようになった。ちゃんとお金をかければ、ちゃんとした設備がつくんだと、みんなが感じたポイントだった。 「蓮先輩って、いい体してますねえ。下半身の筋肉がすごいっすね。」 2年生ともなると、裸でいることは、別段恥ずかしくもなくなっている。毎日のように部員みんなでシャワー浴びていれば、さすがに慣れるというものだ。もちろん1年生はまだそこまでの慣れは習得しておらず、手で股間を隠したり早々にパンツを履いたりしている。そんな1年生が、女子からもちょっと好感度がある(と、まあ自覚もある)俺の裸体を、羨望の眼差しで眺めているのが、なんとなく視線で感じてきている。 「ケツの筋肉って、そんなにデカくなるんですね。」 シャワーを浴び終わり、タオルを取ろうとして落としてしまい、屈んだところで、そんな言葉をかけられた。ケツと太ももの太さは、たしかに俺のは大きい方なんだろうな。 サッカーやテニスに比べると、そこまでの運動量ではないかもしれないが、瞬発力やブレーキの踏ん張りなどを考えると、大会で成績を残す程度の筋肉量は発達していて当然だろう、と俺は考えた。 「いいなぁ。こういう体だったら、女子とセックス出来るだろうな。」 「え、えぇぇ?」 いきなりセックスって言われて、俺はついレンのあの裸体を思い浮かべてしまった。ビクンっと体全体が反応した。 「おぉっ、蓮先輩って、ソコもスゴイっすねw。」 「おまえら、よせってば。」 1年生達の未発達な体つきを、レンの体と重ねてしまった。あのケツを思い出したら、シャワー浴びたときより熱くなってきた。 ヤバっ。レンのセックスしたときのヌードと、部員の一年生の裸と、いまリンクしたみたいで、腰とかそのくびれとか、俺がしっかり掴んだあの感触ともリンクしてきてる。ヤバっ。 「先輩、さっきより大きくなってるっすね。なに興奮してるんッスか?w。」 「お、お前らが変なこと言うからだろっ…つ…」 やべー…、後輩たちのヌード見てたら、…やべー! 普段は股間なんか隠さずに過ごしていて、友達との大きさもチラチラ覗いて比べるんだけど、これはさすがに俺の硬くなったのを手で必死に抑え込んだ。さっさとバスタオル巻いて、服着なきゃ。 家の帰り道。 さっきの醜態をしっかり見届けた後輩たちに囲まれ、オナニーとか好みとか質問攻めされていたが、それも歩いているうちに一人二人と別れて、家の近くまで来たときにはポツンと一人で歩いている。 いやー、さっきはさすがにヤバかったかな。 …、…、これでレンにあったら、またセックスしちゃうんじゃないかな。 たしか家は違う方向だったから、こっちでは会うことはないはず。やべーぞ。出てくるなよー、現れるなよー… 「…、ただいまー」 現れなかった。出てこなかった。 「なんだよー」 と、本気で悔しがっていた。出てほしかったのか、そうじゃないのか、なんだか分からなくなってきた。 部屋に入って、ベッドに寝転んだ。シーツの感触が頬にあたった。 …?、ばっと振り返った。レンがすぐ後ろに寝ているような気がしたから。いやもちろん、そんなことはなかった。誰もいない。俺しかいない。 しかし、眼の前のシーツの上に、バババッと、レンの後ろ姿が思い起こされた。 瞬間、俺の股間に血液が集中した。 「お、お、ぉぉぉっ」 そのまま腰をベッドに押し付けたとき、ビクッ、ビュルルルッ、 音を立てたくらいの勢いで、着衣のままで、ボクサーの中で暴発した。 「お?っぉぉおっ?」 自分自身にびっくりして、しばらくボーゼンとしていた。体を起こすと、シーツにまでシミが染みていた。 「…どんだけ出したんだよ」 俺はそのぐちょぐちょのボクサーごと掴んで、もう一回しごいて、またそのまま果てた。着衣のままでオナニーするなんて。

ともだちにシェアしよう!