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第11話 思わず回想
バシュッ!
ラインの内側に、俺のシャトルが弾んだ。
「ゲーム!ファーストゲーム、ワンバイ、蓮、21:13。」
「くそー、今日の蓮は、ずいぶん調子いいじゃねえか。」
「へへ、まぁな。」
夏休みの最中、部活の時間。
俺は体育館でバドミントン部のコート内で、メンバーたちと練習試合していた。
大会が終わってすぐのためか、参加者は少なめだった。蓮を含めて6人。
なので今日は、先日の試合を思い出しながら、主審と線審も含めた、1つのほぼ試合方式としている。
「セカンドゲーム、ラブオール、プレイ!」
本格的な試合形式にしているために話し声はもちろん、普通のような叫び声も出すことはまず無い。床のきしむ音こすれる音はねる音が響いているだけ。それだけ、みんなも線審に集中しているところだ。
バシュッ、ピンッ、バサッ、
空中から響く音も、だいたいこんなもので、それ以外の種類の音は無い。
「サービスオーバー、16:5。」
審判も、言葉を発するだけだし、ほぼほぼ無音状態で試合は続いていく。
「ゲーム!マッチ、ワンバイ。」
蓮が連続して勝ち、今日のメンバーの中で一番の成績を残した。
「蓮、すげえな。3マッチともストレートで勝ってさあ。」
「大会はそうでもなかったのに、急にやる気スイッチ入れてきたな。」
「なに、なんか良い事でもあったの?それともイヤな事?」
たしかに、この前のレンとのセックスをしてから、すごく調子がいい。俺のアゲマンだったりして。
「なんかさ、フットワークにコツがあったみたいでさ(笑)」
って、テキトーに流した。
部活が終わって、汗を拭きながら更衣室に戻って、シャワーを浴びる。
うちの学校では、この夏休み中にシャワー室が新しくなって、壁もキレイになって、朝から夜まで温水がちゃんと出るようになった。ちゃんとお金をかければ、ちゃんとした設備がつくんだと、みんなが感じたポイントだった。
「蓮先輩って、いい体してますねえ。下半身の筋肉がすごいっすね。」
2年生ともなると、裸でいることは、別段恥ずかしくもなくなっている。毎日のように部員みんなでシャワー浴びていれば、さすがに慣れるというものだ。もちろん1年生はまだそこまでの慣れは習得しておらず、手で股間を隠したり早々にパンツを履いたりしている。そんな1年生が、女子からもちょっと好感度がある(と、まあ自覚もある)俺の裸体を、羨望の眼差しで眺めているのが、なんとなく視線で感じてきている。
「ケツの筋肉って、そんなにデカくなるんですね。」
シャワーを浴び終わり、タオルを取ろうとして落としてしまい、屈んだところで、そんな言葉をかけられた。ケツと太ももの太さは、たしかに俺のは大きい方なんだろうな。
サッカーやテニスに比べると、そこまでの運動量ではないかもしれないが、瞬発力やブレーキの踏ん張りなどを考えると、大会で成績を残す程度の筋肉量は発達していて当然だろう、と俺は考えた。
「いいなぁ。こういう体だったら、女子とセックス出来るだろうな。」
「え、えぇぇ?」
いきなりセックスって言われて、俺はついレンのあの裸体を思い浮かべてしまった。ビクンっと体全体が反応した。
「おぉっ、蓮先輩って、ソコもスゴイっすねw。」
「おまえら、よせってば。」
1年生達の未発達な体つきを、レンの体と重ねてしまった。あのケツを思い出したら、シャワー浴びたときより熱くなってきた。
ヤバっ。レンのセックスしたときのヌードと、部員の一年生の裸と、いまリンクしたみたいで、腰とかそのくびれとか、俺がしっかり掴んだあの感触ともリンクしてきてる。ヤバっ。
「先輩、さっきより大きくなってるっすね。なに興奮してるんッスか?w。」
「お、お前らが変なこと言うからだろっ…つ…」
やべー…、後輩たちのヌード見てたら、…やべー!
普段は股間なんか隠さずに過ごしていて、友達との大きさもチラチラ覗いて比べるんだけど、これはさすがに俺の硬くなったのを手で必死に抑え込んだ。さっさとバスタオル巻いて、服着なきゃ。
家の帰り道。
さっきの醜態をしっかり見届けた後輩たちに囲まれ、オナニーとか好みとか質問攻めされていたが、それも歩いているうちに一人二人と別れて、家の近くまで来たときにはポツンと一人で歩いている。
いやー、さっきはさすがにヤバかったかな。
…、…、これでレンにあったら、またセックスしちゃうんじゃないかな。
たしか家は違う方向だったから、こっちでは会うことはないはず。やべーぞ。出てくるなよー、現れるなよー…
「…、ただいまー」
現れなかった。出てこなかった。
「なんだよー」
と、本気で悔しがっていた。出てほしかったのか、そうじゃないのか、なんだか分からなくなってきた。
部屋に入って、ベッドに寝転んだ。シーツの感触が頬にあたった。
…?、ばっと振り返った。レンがすぐ後ろに寝ているような気がしたから。いやもちろん、そんなことはなかった。誰もいない。俺しかいない。
しかし、眼の前のシーツの上に、バババッと、レンの後ろ姿が思い起こされた。
瞬間、俺の股間に血液が集中した。
「お、お、ぉぉぉっ」
そのまま腰をベッドに押し付けたとき、ビクッ、ビュルルルッ、
音を立てたくらいの勢いで、着衣のままで、ボクサーの中で暴発した。
「お?っぉぉおっ?」
自分自身にびっくりして、しばらくボーゼンとしていた。体を起こすと、シーツにまでシミが染みていた。
「…どんだけ出したんだよ」
俺はそのぐちょぐちょのボクサーごと掴んで、もう一回しごいて、またそのまま果てた。着衣のままでオナニーするなんて。
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