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第17話 開いていく思いの温度差
レンがおっさんたちに、自分から進んで犯されに行くことが明らかになったのは判った。
しかし、それはマズイだろ。
まず俺達は未成年だし。法的に、一発アウトだろ。
倫理的に、男が男を犯す行為というのも、日本は…いや、世界で見たって、まだまだ受け入れられないだろ。
人数だって、この前は大人が4人も来ていた。それをレン1人が相手するんだろ?
いまのところ、レン本人は、今の状況を変えるつもりも無いみたいだし。前回の帰り道に、レンの家の前まで送っていったけど、…どーも、考え方が、俺ともちょっとズレているので、噛み合わないところがある。まあ、それがレンだから、なんだけど、
…うーん、見方によっては、レンの性格のいいところを、おっさんたちは悪用しているとも言えちゃうよな。あーなんだか頭がこんがらがってきた。
「んむむっ、せん、先輩?ちょ?」
「あ?あ、ごめん。」
ぐぐっと手に力が入ってたのを、手を離した。後輩の頭を、力いっぱい締め付けてしまっていた。
後輩は、一度口を離し、再び俺のチンポをしゃぶってくる。
部室の近くで、誰も来ないトイレ、その個室で、こっそりと、いつものルーティーンを実施しているだけ、なんだ。
俺が、これだけレンに熱い想いを抱いてきていて、それが部活にもヒートアップとか空回りとか影響が出たことによっての、クールダウンの一環がこれ。
いや、俺だって、男にしゃぶられて射精、口に出すことに(後輩はちゃんと飲んでくれてる)、はじめはちょっと抵抗があったけど、毎日のようにこんなこと続けていくと、慣れてきたというか、感覚が麻痺してきてるというか、
「先輩、今日はなんか考え事してますね?」
「え?あ?あ、あぁ、ま、な。悪り。今日はいいや。大丈夫だよ。」
ぷはっとチンポから口を離すが
「でも今日はモヤモヤしてますね。気分晴らしたほうがいいんじゃ?」
「え、でも、しょうがないだろ。ここは」
「ここは、僕のケツでも大丈夫です。どうぞ。」
ん?え?あれ?ここにもレンがいる?
「僕を、抱き枕だと思って、そのまま出していいですよ。」
と、後ろを向いてハーフパンツを下げた。サポーター姿のまま(ケツ割れでそのままアナルを犯せる形の下着なので)に腰をちょいと出してくる。
「いやいやいや、ちょっと待て。今日はソコまではいらないよ。」
そうだ。こんなふうに、この後輩だって、自分から俺に寄ってくる。
だけど、レンは、俺から声をかけないと、話をすることもしてこないのだ。
「明後日からシルバーウィークだけどさあ、なんか用事ある?一緒にどっか行かない?」
「あー、残念。秋の旅行がもう入ってるんだ。ごめんね。」
次の日、朝イチでレンに声をかけたんだが、こんな返答。
あー、家族旅行か。それじゃ仕方ないな。どっちにしろ、俺も試合があって練習があって、休んでられないからな。
って、そんな時に声かけてられないって?
そうだよ。でも、俺にとって、試合なんかより、レンのほうが大事なんだよ。
んあー、いかん。またヒートアップしてる。
「あたし?もちろん、部での撮影旅行よ。写真部だもん。」
あ、そうか。腐女子もそういう計画があるんだ。
「私達の方は、部活の行事だから、年間計画で決まってるのよ。この季節だから北に向かって紅葉の撮影が主だけどね。今年はそれ以外に『人』がテーマにしてるんで、現地の人の取材とかも兼ねてるわよ。蓮くんは試合でしょ?頑張ってね。うちの部も、何人かはそっちの大会に撮影しに行くと思うから。」
「そうかぁ。それじゃ俺は…、あ、そうだ。」
腐女子のすぐ横まで近づいて
「あら、こんなところで告白だなんて(ギャル風に)」
「あほ。」
「冗談よ。んで、レンくんでしょ?」
「え、なんで判ったの。」
「蓮くんに、それ以外のネタがあったっけ?」
「ま、…、そうだな。」
「あれから、写真はネットには上がってないのよね。一応、他のサイトもSNSも探してみたけど。」
「他のサイトって、どんなところ見てるんだよw。」
「体験談のところだったり。そういうのは小説部に協力してもらえてるの。」
「…、なあ、なんだかネットワークが広まってねーか?」
「あったりまえでしょ。あの可愛いレンくんですもの。あのヌード写真の一件以来、レンくんに恋してるのって、私達だけじゃないのよ。もっと深い人もいたから。」
「マスコミ級の調査力だな。すげーな。んで、深い人ってどれくらいの仲だよ?」
「…、言わない。」
「言ってよ。」
「言わない。」
「教えろよ。」
…5分経過…
「わかったわよ。でも、絶対に言わないでよ。名前は言いませんからね。」
「ああ。わかってる。それで?」
「2回セックスしたって言ってた人がいるわ。」
「ん?俺?じゃないヤツか?」
「女の人よ。手足固定されて、身動き取れない状態にされて。はい、ここまで。」
「…なんだよそれ。」
「私は多少の免疫があるからいいけど、蓮くんにはちょっとキツかったかな〜?」
「おい、ふざけんなよ。誰だよそいつは?」
「これ以上は言いませんよ。私も、そこまでしか聞いてないんだから。それに蓮くんが聞きたいって言ったから教えただけよ。」
その言葉を最後まで聞かずに振り返って急ぎ足した(走って怒られることはしないよ)。そしてすぐにレンにLINEした。帰宅部のレンは帰り道の時間のはずだ。しかしその日夜になっても、既読は付いたが返事は来なかった。
次の日、連休は明日から始まるというのに、レンは学校に来なかった。
「ああ、レンくんは、今日は休みをとってますね。旅行に行くって言ってたから。まあ、ゆっくりしていったら良いんじゃないでしょうかねえ。高校生活は、ずいぶん楽しそうにしてるから。蓮くんのことも、いろいろ話していましたよ。」
授業が終わって教官室に行くまでの間。先生と俺は、レンの情報を聞いた。
「レンって、なにかあったんですか?」
学年主任でもあるその先生は、レンの両親とも、かなりの時間を使って、保護活動を行っていたと言っている。およそ、この前のホテルの帰りでレン本人から聞いたことがほとんどだったけど、
「同じ名前のよしみというんですかね。それがきっかけで、高校生活がとっても有意義のある時間だと言ってくれてました。家に帰ると蓮くんのことばかり話してくるんだそうですよ。一緒にご飯食べたとか、デートに行ってきただとか。」
「げっ、そんなことまで?」
「ここまで活発に行動してくれたのは、蓮くんのお陰ですって言ってましたよ。今回も、自分から旅行に行きたいだなんて言い出して。数日間の旅行は数年ぶりだって言ってたから、いまごろ、楽しんでるころじゃないでしょうかねえ。」
「そっか、そうなんだ…。」
ま、たまの連休だし、しょうがない、俺は試合に専念するか。
「君も、この連休で試合があるんでしょう?頑張ってくださいね。レンくんのためにも。」
「はい。ありがとうございます。」
はぁー、なんだかスッキリした。じゃ、レンにLINE送っておくか。
ぱっと画面を出すと、今朝からレンに既読は付いていなかった。
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