テントの中の照明が強くなった…と思ったのは、朝日がテントを照っていたからだと気がついた。 「…、あ、カメラ、撮れてるかな？」 カメラマン役は、録画しておくメモリを交換するのも、役割のひとつ。 ここは屋外なのでWi-fiカメラは使えないので、メモリ保存するしか方法がないのだ。 一応、４時間くらいなら、１つのメモリだけで連続録画出来ることにはなっているが。 テントの中が眩しすぎて、はっきり目を開けてられなかったが、ゆっくり体を起こし、目の前にセックス中の二人がいるのに気がついた。 夜に少しだけレンを介抱していた、若い男だった。もう１人は、もちろんレンで、若い男の上で下半身は繋がったままで抱き合っていた。 「ん、っんむっ、…はぁん…好き…」 「レン…好きだよ…愛してる…」 完全に二人だけの世界に入り込んでいる。 その周りは、みんな全裸の寝顔の大人たちが６人も。この光景だけ見ると、なんとも異様な一面だ。 あとで動画確認しとこう。カメラマン役は、そう思った。 　レンの縄は、昨日からずっと締めっぱなし。うまい具合に、解けたり緩むこともなく、レンの体に一体化して密着しているかのように。 朝日に照らされ、みんなが目を覚ました頃に、１人の男の「個人的にカメラに収めておきたい」という主張により、レンの写真撮影会となった。 非（あら）れもないポーズをとり、数人の男たちのスマホに撮られながら、色気満載の少年の裸体が、スマホのレンズに視線を注ぐ。 「昨日は元気いっぱいの表情だったけど、一晩寝てない時って艶っぽさが出てていいねぇ。」 アマチュアカメラマンだというその男は、後にそう話していた。 　昼前に、小休憩を設け、男たちは団欒の場となった。 （ここでレンは、つかの間の昼寝タイムになった。なにせ寝ていないのだ。） 「レモンの霧吹き、念入りにかけておいたよ。」 「しかし、マットの上で寝させるなんて、まさか、アレか？」 「アレって？」 「昨日からあの姿のまんまでいるって、日焼けするだろ？」 「そりゃそ…え、もしかして？」 「亀甲縛りの日焼け跡がつくだろ？それが目的なのかな。」 「お、わかったか？レンに、他の男と一緒になれないような方法を、いろいろ考えてたんだよ。」 「やっぱり。おやっさんも鬼畜だね。」 「レモンってなぁ、日焼けの効果が強く出るんだとよ。焼け跡が濃くなって、数カ月は取れないんだと。」 「へぇ。計画的だねえ。」 「前回がドタキャン食らったからなあ。それなりのことをしてもいいだろ。こっちだって予定が狂っちまったんだからよ。」 「でも、未成年にソレは、ちょっとキツイんじゃね？ｗ」 「何事も、経験だよ。人生ってのはな。」 と、そのオヤジは言い放った。 　男たちは、夜や朝のタイミングで、都合のために帰ったり、新たな男が来たりしている。車が複数あるのは、そのためだ。だから、通してずっと旅行に付き合っているのは、５人もいない。他が入れ替わり立ち代わりなので、レンはいつも犯されているのだ。 その昼寝が30分くらい経った頃に、レンを起こさせた。もう縄が無くても逃げられないだろうという、全員一致のことだ。 かくして、レンに着けていた縄を、全て解いて外した。カメラはその始終を捉えた。 「おおぉ〜」 歓声が上がった。 もともとの白い肌の上に、くっきりと褐色の焼けた跡がついた。 さっきまで縛られた縄の模様がはっきり残っている。 「うわぁー、スゴイ。こんなにキレイに焼けてるなんて、すごいね。」 レンも、案外まんざらでもなさそうに、ニコニコ顔になっている。 「どう？おじさん、僕、こんなにカッコよくなったよ。」 「ああ、見事に焼けたな。イイ体してるよ、レン。」 「ホント？ホント？すげー嬉しい。」 とオヤジに抱きついた。周りの男たちの顔には、ちょっと困惑の色を出していたが。 「なあ、このレンの体に、ちょっとやってみたい事があるんだけど、いいかな？」 と、あの若い男が提案してきた。 「おっ、なんだい？」 「この体見てたら、ちょっとイタズラしたくなってさぁ…」 そのオヤジにコソコソ話をしたと思うと、荷物からなにやら取り出してきた。クラッカーか？小さな円錐形の小道具を持ってきた。 「ひゃっ、なんかくすぐったい。」 円錐形の尖ったところをプチッと切り、きゅっと絞っていくと、茶色のペーストが出てきた。 「タトゥペイントなんですよ。２〜３週間くらいで消えるんですけど、文字や絵を描くように出来てます。これで、落書きさせたいと思って。」 と、お腹に『bitch school boy』と書いてみた。 「このまま、15分くらい置いときます。皮膚に染み込んだら、水などで流して、完成です。」 「おぉー、俺も書いてみていいかな。」 「今日は黒と茶色しか持ってこなかったけど、赤や白など、いろんな色もあります。」 そうして『変態』とか『尻軽』とか書かれた後、今度は背中と太ももの内側を描くということで、うつ伏せに尻を高く上げた格好にさせた。 レンに見えないところなので、表よりも卑猥で下劣な言葉が多く書かれた。『肉便器』『ナマ中出し専門』『goodboy（海外では子供相手に卑下する言葉でたまに使われるそうだ）』などと書かれた。 「ちょっとちょっと、それは書きすぎじゃないのかな〜？」 「ん、レンにはピッタリじゃないか？なあ、レン？」 「なんでもいいですよ〜。何書いても。写真も撮ってくださいねぇ。」 「レンくん、ホントに、グッドボーイだよねぇ。ホント好きだよ。」 「ありがとー。僕もオジサンたち、大好きです。」 「レンは、みんなの『物』だからねぇ。だからみんな、レンのこと愛してるからね。」 そのセリフ、男たちはそのアクセントを付けた言葉に、皆が気がついた。 「うん、うん。好きです。僕も、オジサンたち、大好きです。」 知ってか知らずか、レンは純粋にこう返した。 「そうだぞ、だから彼氏なんて作らないで、オジサンたちのモノになってくれよ。」 その返答に、レンは言葉を変えてきた。 「え、いや、僕は、みんなのものだから。だから蓮も同じです。蓮のものでもあるから。」 「なにを言ってるんだい」 と、主催者でもあるオヤジが喰い付いた。 「この前のドタキャン、彼氏が来たから中止になったんだよなあ。だから今回、これだけ盛大に反省会をやってるんじゃないか。」 「そうです。あの時は、本当にごめんなさい。予定外に連が来たから。」 その時に連が来たのは、レンが連れたわけでもなく、オヤジが呼んだのでもない。参加者が勝手に写真を送りつけたから、蓮が駆けつけたのだ。 「だから、もう彼氏と一緒にさせてやらないと思ったから。堕とすところまで堕としてやると決めたんだよ。」 その言葉に、レンは珍しく、間髪入れずに言葉を返した。 「でもそれは、オジサンが独り占めしてるみたい。みんなのものなんだから、独り占めは良くないと思うよ。」 その言葉に、一同、一瞬、静まり返って、 「ふっ、はは、ははははっ」 とオヤジが大声をだして笑いだした。 「はははっ、はぁー、そうか、独り占めか。」 くくくっと笑いが止まらなかった。 「くはー、いやぁー、レンに言われるとはなあ。レン、やるじゃないか。確かにそうかもしれないなあ。」 男たちはそのレンの言葉に、ちょっと和ませられた感じがあった。レンは本心で、みんなの所有物と言ってのけた。大人たちはただ単に性欲のはけ口先としてレンの体を使っていたが、 「レンって、いったい何者なんだろうねえ。なんだか、不思議な子だね。」 「ただの弱い子だと思っていたけどな。ひょいひょい俺達についてくるんだからな。」 もういいかなと、レンは近くの水が流れる小川のところまで小走りに行った。大人たちも数人ついていった。 小川の中に体全体を浸かって、体に残っているペーストを洗い流した。大人たちも体中をさすって、きれいに落とした。 「こんな体なのに、凛々しいねえ」 昼下がりの日光に照らされて、日焼け跡と黒文字のコントラストが、水濡れの裸体にくっきりと艶っていた。それを２台のカメラで全てを録画していた。