5 / 56
2 ダメなのに
学校ではいつも通り委員会活動に精を出し、佑哉も、勉強に仕事に忙しい。
でも、夜になったらふたりきりの時間だ。
元々ベタベタしたがる佑哉だから、もう、それはそれは甘ったるいものになる。
「先輩、キス慣れないですね。すぐ真っ赤になる。可愛い」
「分かってやってるなら、もうちょっと……」
「もうちょっと、何?」
「そ、の……、こんな、ひざに乗っかってとか、恥ずかしくて」
「だってこの方が抱きしめやすいんだもん」
佑哉は言いながら、僕のTシャツの背中側にするりと手を入れた。
「ひゃっ」
最近、この手のイタズラが多い。
びっくり半分、ドキドキ半分。
でも、僕だって普通に健康な男だから、そういう系の刺激には、ちょっと反応してしまう。
それに、そんなに流されやすい性格だったかと自分であきれるほど、日に日に好きになっている自覚もあるし――もちろん、直接『好き』とかは言ったことがないけれど。
Tシャツの中の手が、ゆっくりじんわり、背中のあちこちを這 いだす。
「……、ん」
「そんな悩ましげな声出さないでくださいよ」
「じゃあそれやめて」
「嫌です」
手がお腹側に来て、さりげなくTシャツがめくられる。
僕の体をまじまじと見た佑哉は、目を伏せて軽くため息をついた。
「小柄で可愛い顔した先輩。しかもおいしそうなんて」
「え、え? 何?」
「痛いこととか嫌なこととか絶対にしないんで、先輩のこと気持ちよくしてもいいですか?」
驚きのあまり、目を見開く。
こくこくとうなずいてはみたものの、一体何が起きるのか。
佑哉は僕をベッドに寝かせ、Tシャツをめくって、上半身のあちこちにキスしてきた。
「ん、くすぐったい」
「くすぐったいところは性感帯ですよ」
直接的な言葉で言われて、ぶわっと恥ずかしくなる。
佑哉は……徐々に、期待する場所の近くを中心に唇をくっつけていき、俺のことをちょこっと上目遣いで見た。
「ここ、なめてみてもいいですか?」
乳首のすぐ近くに、唇を寄せる。
あの日見た妄想を思い出し、緊張気味にうなずく。
佑哉は舌を出して、ほんの先っぽで、チロッとなめた。
体が自然に、ぴくっと跳ねる。
「ん……っ」
「気持ちいい?」
チロチロとなめながら、空いた片手で反対側をいじる。
免疫のない僕は、それだけでかなり興奮してしまった。
呼吸が荒いのが、自分でも分かる。
「は、ぁ……、変な声出ちゃう、んんっ」
「頑張って抑えて」
「……ん、んっ、……ん」
ちゅうちゅうと吸われて、下は勃起している――佑哉は気づいているだろうか。
「先輩、こっちも触っていいですか?」
ハーフパンツの上から、太もものあたりを、やわやわとなでる。
僕はもどかしくて、か細い声で「触って」とお願いしてしまった。
下着ごとずり下ろされる。
ブルンと飛び出したものを見て、佑哉が生つばを飲み込んだのが分かった。
ここを見せてしまったらいよいよ、これはただのじゃれあいじゃなくて、性行為だなと思った。
佑哉と、淫 らなこと……。
「先輩、我慢汁でてきた」
「そういうの、言わなくていいから……っ」
「なんで? うれしいですよ、期待してくれてるんだなあって」
佑哉は愛しそうな顔つきで、僕のものをそっと握った。
「俺ばっかり好きなんじゃないか、押し付けてるんじゃないかって、不安だったりするんですよ。これでも」
「あ……ぁ、」
何か言いたいのに、感触で言葉が飛んでしまう。
人にしごかれると、こんなに気持ちいいのか。
かろうじて冷静な自分が時計を見ると、まもなく21:40というところ。
まだみんな、廊下を普通にうろついている時間だ。
ダメなのに。
「ん、はぁっ、や、……声でちゃ、ぅ」
「じゃあふさいであげます」
「んぅ」
キス、というより、人工呼吸に近いようなふさぎ方で、声がくぐもる。
すぐイッてしまいそうで、泣きたくなった。
「ん、んぐ……」
僕の状況を知ってか知らずか、佑哉はさらにしっかり僕の口をふさぎ、下を攻めた。
体がびくびくと跳ねて、自分のものじゃないみたいだ。
イキたくて、脚に力が入る。
「もうイキたい?」
かすれ声で聞かれて、僕は泣きそうになりながらうなずいた。
「可愛くイッてください」
かわいくってなんだ……と思う暇もなく、熱が下腹部に集まる。
「ん、ゃだ、……っ、ん、んッ」
「大丈夫」
「……ッ、ん、イク、ん……っ、はぁっ、はあっ……、ッ……!……!」
長い長い絶頂の中、佑哉の手にも、僕のお腹にも、熱い精液が飛んだ。
ともだちにシェアしよう!