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佑哉は僕の耳元に唇を寄せ、ささやいた。
「触るね」
くにくにと乳首を刺激されて、か細く声が漏れてしまう。
「はぁ、ぁっ、……ん」
「これ好き?」
「き、もちぃ」
「ちゅうって吸うのと、くりくりってつまむの、どっちが好きですか?」
「……佑哉が好き」
佑哉は面食らったように目を見開いたあと、困り顔で笑った。
「うれしい。大好き。たまに、俺ばっかり好きなのかなって、不安になるから」
「こんな時しかうまく言えなくてごめんね」
返事の代わりに、乳首に吸い付く。
そして、反対の手で粒をつまみ、コリコリと擦り上げる。
「ぁ……っ、んっ」
「声、我慢しなくていいんですよ」
「はあ、ぁ……っ」
呼吸を荒げながら、僕は佑哉のベルトに手を伸ばした。
雑に開け、下着の中に手を突っ込み、既に硬さを持ったそれを指先でなでる。
「ぅ……わ、」
「ゆうや、なめたい」
「え? いや、それならお風呂……」
「やだ。なめたい」
駄々っ子みたいに却下して、ズボンを無理やりずり下ろした。
予告なく、勃ち上がったものを口に含む。
佑哉は軽くうめきながら、僕の頭をなでた。
背中を丸めて一心不乱にくわえていると、どんどん淫 らな気持ちになってくる。
おそらく日本の高校生で一番かっこいい彼が、僕の口淫で感じているかと思うと、たまらなかった。
「ストップストップストップ。だめ、先輩。イッちゃいますから」
ぐーっと額を押さえて、引きはがされた。
姿勢を戻そうとしたところで、ズボンを脱がされた。
佑哉自身も脱ぎ捨てて、お互い、裸。
ガチガチに勃起して。
佑哉は優しく僕の肩を押して、僕はぽすんとベッドに沈んだ。
「俺、中、挿れたいんですけど。でも先輩が嫌なら……」
「挿れて。気持ちいいってネットに書いてあった」
佑哉はギョッとして僕を見る。
「まさか、そんなこと言われると思いませんでした。拒否られるか怒られるかと」
「して欲しくて来てる」
「……言ってることと表情がちぐはぐ過ぎますよ」
大胆なことを言ってみても、恥ずかしくてたまらないのは変わらない。
多分、顔も耳も真っ赤だろう。
「健気な先輩が好きです。エッチに興味あるのも可愛い」
「好きな人相手なら、何でもいいんだよ」
佑哉はベッドサイドに手を伸ばした。
そして、難しい顔で、試供品の袋の成分表示を読んでいる。
「ローション、なんか種類があるみたいです。蜂蜜入りでお肌すべすべと、ぬるぬる持続と、エッチな気分になる香りのやつ。どれがいいですか?」
「分かんないよ」
「じゃあ手始めはいい匂いのやつにします。足開いて」
ピリッと破き、ローションを手のひらに出す。
僕はとんでもなく恥ずかしく思いながら、お尻がよく見えるように足を開いた。
「力抜いて? できる?」
その声があまりにも優しくて、全部佑哉に身を任せるつもりで、僕はさらに足を開いた。
佑哉の指が、そろっと入ってきた。
「平気? 痛くないですか?」
「ん……、ぁ、こ、れだけで既にきもちぃぃ」
「ほんと? じゃあ、もうちょっと奥まで入れますよ?」
「あ、あ……っ、んっ」
上擦った声を漏らし、シーツをぎゅっと握る。
佑哉は僕の様子を見ながら、不思議そうに首をかしげた。
「大丈夫? ほんとに気持ちいい? 無理してませんか?」
「ん、……きもちい、本物の佑哉の指」
「……ほんもの?」
僕は、多分真っ赤な顔で、こくこくとうなずく。
意味が通じたらしい佑哉は、僕の赤面がうつったみたいに、ぶわっと頬を赤らめた。
要するに僕は、練習をしていた。
ひとりの時に。
佑哉の指にかき回される想像をしながら。
気持ちよくなれる場所を探して。
「いつかはそうなると思ったから……、その時ちゃんとできなかったらと思ったら、ん……」
「やばい。やばいやばいやばい。可愛すぎますよ先輩。俺のために予習してくれてたんですか?」
「……失望されたくなくて」
恥ずかしさで死んでしまいそう。
しかし佑哉は、中を探る手を止めないまま、僕の頬にキスをした。
「先輩のそういう、ド真面目すぎるところが大好き。ひとりでエッチなことして、俺のこと想像して、イケました?」
僕はゆるゆると首を横に振る。
「気持ちよくはなれたけど、イクのは無理だった。佑哉にしてもらわないとダメなんだと思う」
「……ちょっと、先輩、もう。それ、天然で言ってるんですよね? あざとく誘惑とかじゃなくて」
「え? あ、んっ」
そこ、気持ちいい。
……と口にすることはできず、その代わり、ビクッビクッと体が跳ねた。
「あ、んっ、はぁっ……」
「ここ気持ちいいですか?」
「ん、きもちぃ、ぁあッ」
「すご。カウパーダラダラ」
佑哉はまだ、1度もペニスに触れてくれていない。
触って欲しくて、もどかしくて、恥ずかしくて言えなくて……嘆願の言葉は、甘ったるい声に飲まれて消える。
「や、ん……っ、んぅ」
「腰浮いてる。何かして欲しいことあるんじゃないですか?」
「い、いじわる……」
「あはは、ごめんなさい。そういう趣味はないですよ。ただただ甘やかしたいです」
そう言って佑哉は、僕のペニスを握った。
「ぁッ、あぁっ、も、ん……」
「イッちゃいそうですか?」
触られただけなのに、ダメそう。
答えることもできずこくっとうなずくと、佑哉は先っぽをぐにぐにとこねながら、素早く上下した。
中もかき回されて、ぶわりと熱が押し寄せる。
「あっ、あ、イク、イッちゃ……ッ!……ん……ぁあ!……っ……!……ッ」
弓なりに背を反らし、大量に吐き出す。
出し切ってくたりと力が抜けると、佑哉は生唾を飲んだ。
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