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 翌日の夜。  体育館で開かれている謝罪会見のライブ放送を、佑哉のスマホで見ていた。  そしてその横で僕は、ツイッターを開いている。 「トレンドに『青花』『ラグビー部』って入ってるよ」 「全国ニュースはやばいですね」  僕の悪い想像はとことん外れてくれて、ツイッターに流れる主張は、普通に、有名校の不祥事、教育現場の大問題になっている。  葛城のかの字も出てこない。  試しに佑哉のことを検索すると、ファンの子たちが必死で『ゆや心配』『ラグビー部だからゆや関係ない!!』『青花ってだけでゆやの名前出すのほんとやめて』と訴えていた。 「みんな佑哉のこと信じてくれてるみたいだよ」 「……よかった」  ふたり暮らしをさせて欲しいという僕の主張は、申し出た瞬間に快諾された。  その代わり、この件に関して一切どこにも答えないでくれ、と。  交渉成立。  12月頭の試験明けに、駅前の新築オートロック付きマンションに引っ越し予定だ。  会見が終わると、ニュースのコメンテーターたちが、厳しい顔で学校批判をしている。  この人たちが難しいことを言えば言うほど、葛城佑哉を絡めて面白おかしく言おうとする人間は減るはずなので、是非頑張って欲しい。 「先輩、まだ体痛いですか?」 「最初に比べたら全然」 「じゃあ、絶対優しくするから、エッチなことしません?」  こくっとうなずくと、佑哉はうれしそうに笑って、キスしてきた。 「寮でドキドキエッチも残りわずかですね」 「言い方が悪趣味……」 「耳真っ赤ですよ」  口調はからかっているのに、僕の体に触れる手つきは、壊れものを扱うようだ。 「何して欲しいですか? 何なら痛くない?」 「ん……と、その、佑哉の、なめたくて……」  佑哉のものを口に含んでいると、いつも、ありえないくらい興奮する。  だから、ひとたびエッチな気持ちになってしまえば、多少痛いのも気にならない気がした。  佑哉はクスリと笑う。 「先輩は口の中気持ちいいの好きですもんね」 「すき」  電気を消したらどこが痛い場所か分からないから……という理由で、部屋は明るいままだ。  佑哉がズボンを下ろす。  しゃぶりついてしまいたい衝動を抑え、反り勃つそれをそっとくわえた。 「……やば」 「ん、ふぅ」  じゅるっと強めに吸うと、佑哉は吐息を漏らした。 「可愛い。こっち見て」  くわえたまま上目遣いで目を合わせる。  佑哉はうれしそうに目を細め、僕の頭をゆっくりとなでた。 「なんか、離れ離れになって、こういうこともできなくなるのかなって思ってたから。これからも一緒に過ごせるの、うれしいです」 「ん……、」  口の中に唾液を溜め、唇でしごく。  派手に音を立てるのは、佑哉のためというより、自分が気持ちよくなりたいからだったりする。  それに、上手にできるとほめてくれる。  気持ちよさそうに長く息を吐く表情が、僕は好きだ。 「あ……やば、ぃ、イキそ……」  余裕がなさそうな声でつぶやくので、僕は口を離し、ペニスに軽くキスをしながら言った。 「ねえ、佑哉。お尻に挿れてるときみたいに口の中に突っ込んでくれない?」 「……本気で言ってる?」 「冗談なわけないでしょ」 「そんな可愛い顔で、ド真面目な風紀委員長が爆弾発言」  僕はコメントせず、あーっと口を開く。  佑哉は生唾をごくりと飲み、リクエスト通りに口に突っ込むと、ゆるゆると動き出した。 「大丈夫? 苦しくないですか?」 「ん、ん……っ」  ちょっと苦しくて……気持ちいい。  佑哉は多分、表情で察してくれた。  僕の頭を軽く支えて、本当にセックスしているみたいに、腰を振る。 「……っ、ちょっと、う……加減きかないです。中に出していいんですかっ?」  僕は軽く涙目のまま、不明瞭な声で「うん」と答える。  佑哉は息を切らしてうめいた。 「あ、イク……っ、ぅあ……ッ!……!」  ドクドクと、あたたかいものが喉の奥に注がれる。  ダイレクトに飲み込む僕はきっと、恍惚の表情を晒しているだろう。  全て吐き出しきった佑哉は、慌てて僕の目線にしゃがんだ。 「……っ、ごめんなさい、ほんとに思いっきり出しちゃった」 「ん。気持ち良かった?」 「はい。すごい、気持ちよかったです」 「僕も」  言いながら、ゾクゾクする。  佑哉は僕の服に手をかけ、ちらっとトレーナーをめくった。  胴体にぐるりと巻かれた包帯を見て、佑哉は眉間にしわを寄せる。 「うわ……痛そう」 「見た目ほどじゃないから平気だよ。それに……」  僕は佑哉の手を取った。 「早くして欲しくて、こんななってるんだもん」 「ほんとだ、ガチガチ」 「うん。だからもう触って」  恥ずかしく思いながらズボンを脱ぐと、佑哉はディープキスをしながら、僕のものをゆるゆると擦り始めた。 「ん、……ん」 「エッチな声我慢してるの、可愛いです。引っ越しまでの期間限定なんですもんね、これ」  佑哉はしみじみと言うけれど、僕は気持ちよさで訳がわからなくなっていて、甘ったるい声を出しそうになるのを、必死で抑えるしかない。 「んぅ、んっ……んん」 「先っぽ、ぬるぬるしてきた」 「……っ、それきもちぃ」  小声で訴えると、佑哉はうれしそうに微笑んで、同じ場所をくにくにといじってくれた。 「はぁ、……っ、はあ、ん、ん……ッ」 「イッてもいいからね」  身をよじると、かすかに痛む。  けどそれ以上に、気持ちいい。  もうすぐ絶頂を迎えるのだろうという予兆が見える。 「ん、ん……ッ、ぃ、イキたぃ……、」 「じっとしててね、動いたら痛いよ」 「ぁんッ、む……りっ、はぁっ」  体がビクビクと跳ねる。  佑哉は僕の頭を肩のあたりにくっつけて、体を支えてくれた。  そして、目一杯擦られる。 「んっ……はぁ、ぁ……、出ちゃ、んッん……」 「いいよ、イッて」 「……っ、はぁっ、……ィ……ッ、……ッ!…………っ、……!……ッ」  声にならない絶叫で、か細く息を漏らしながら、佑哉の手の中に射精した。

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