46 / 56
12 委員長の資質
猛ダッシュで帰ってきた。
カバンを放り出して、寝室へ。
もどかしく思いながら、コートやらブレザーやらを脱ぎ、ベルトを外してペニスを取り出した。
「ん、ん……っ」
セーターも脱ぎ捨ててワイシャツを噛んでめくり上げると、乳首を擦りながら、雑に自慰を始めた。
下校中にエッチな気分になってしまって、でもきょうは佑哉は仕事。
「ん……っ、ふぅっ」
寮時代も含めて、付き合い始めてからは、ひとりでなんて全然しなくなった。
したら不誠実かな、と思っていたからだ。
「ん、んぅ……、ふ、んん……」
早くイキたくて、乳首もペニスも、強めにいじくる。
口の刺激も欲しいから、ワイシャツは唾液でびしょびしょになるくらい、噛んだり吸ったりしている。
「ん……っ」
徐々に上り詰めていく……と思ったら。
「先輩、何してるんですか?」
「……? ぁ」
多分、ものすごくだらしない顔で見上げていたと思う。
なんで佑哉が居るのか分からないけれど、それよりも気持ちいいのが止まらない。
口を離してしまったから、シャツの裾がはらりと落ちて、そうすると声が抑えられない。
「ぁ、ゆうや、……エッチな気持ちとまんなくて……っ」
「先輩、俺が仕事の日、いつもこんな風にしてるんですか?」
「ん、ちが、ぅ……っ、初めて。どうしよう、気持ちいい」
見られていて恥ずかしいのに。
佑哉は眉間にしわを寄せたまま、僕を押し倒した。
しゅるりネクタイを抜き、僕の両手首を結んでしまう。
「あ、やだぁ……っ、これ、とって」
「ダメですよ」
ニコリともしない佑哉は、下着ごと僕のズボンを取り去って、お腹の上にトロトロとローションを垂らすと、片手で手首を押さえつけた。
もう片手でローションを手に取り、何の予告もなく、お尻の穴に指を埋め込む。
「ぁ、あ……っ」
「こっちはまだだったんですね」
「んぅ……、なか、あつい……」
「うん。キツキツなのに、欲しい欲しいって吸い付いてきてますよ」
ぐちぐちとかき回されて、訳がわからなくなってくる。
なんでエッチしてるんだっけ?
「あぁっ、ん、んっ、……ちんちん触りたい」
「ダメ。お尻でイッてください」
「お願い、気持ちよくなりたい」
「……しょうがないな。手、頭の上に上げたまんまでいてね。できる?」
こくっとうなずくと、佑哉は押さえつけていた手を離し、僕のペニスに触れた。
「ぁあ……ッ」
「気持ちいいの、好き?」
「ん、すき」
「中も、先輩が好きなところトントンしてあげる」
ペニスをしごきながら、前立腺を規則正しく刺激されたら、腰が跳ねた。
「ぁあッ、あんっ、ンッ……っ」
「すごいエッチな顔してる」
「ゆうや、気持ちいい、んぅ」
「どうしちゃったの?」
「言えな……んっ、はぁっ」
大してほぐれてもいないはずだけど、もう欲しくてたまらない。
「挿れて、」
「……はー。ほんっと」
佑哉は雑にズボンの前を開け、適当なところまで下ろしたと思ったら、そのまま入ってきた。
「んんっ、おっき……」
「当たり前でしょ、ド真面目な先輩のひとりエッチなんか目撃しちゃって、興奮しないわけがない」
「ぁ、あ……っ、ネクタイやだあ、とって」
「ダメです」
腰を掴んで激しめに奥を突いてくるから、僕は泣きながら嬌声を上げた。
「やら、やぁ、……あぁッ、きもちぃ、はぅ……っ」
「どうする? 風紀委員長がこんなにエッチなの、みんなにバレちゃったら」
「ん、あ……、や、言わないで……っ、ぁあッ」
「言わないけど」
佑哉はすーっと目を細めて、静かに僕を見下ろす。
でもその表情とは裏腹に、僕の体をむさぼる動きは激しくて、僕はすっかり狂乱の中にいた。
5分、10分……。
佑哉はぽつぽつと言葉で僕をいじめて、その度に僕はもっと興奮して、淫 らになってしまう。
「あンッ、……も、あぁっ」
「イッちゃいそう?」
「んっ、イキたい……っ、イキたい」
「いいよ。イッてるとこ見せて」
佑哉は腰を抱え直し、パンパンと激しく腰を振った。
「あっ……、イクッ、ぁああ……ッ!……あああああああっ!」
「……っ、やば」
のけぞりながら射精。
ぎゅーっと中が締まるのが、自分でも分かる。
「ごめ、……っ出るッ」
佑哉は僕をきつく抱きしめ、全部中に出した。
目を覚ますと、僕はきっちり羽毛布団をかけられ、寝かされていた。
服は……着ていない。
隣には裸のままの佑哉がいて、こちらに背を向けていた。
壁掛け時計は17:30を指していて、軽く1時間は寝ていたと思われる。
「ゆ、ゆうや……」
とんでもなく恥ずかしく思いながら呼ぶと、佑哉はいじっていたスマホをベッドサイドに置き、くるりとこちらに向いた。
「おはようございます。無理させちゃってごめんなさい」
「いや……こちらこそ、っていうか、なんか、その……」
言い淀んでいると、佑哉はほのぼのとした笑顔で頭をなでてきた。
「なんであんな可愛い事態になってたんですか?」
「ぅ……帰り道に、急に……そういう気分になっちゃって。ていうか、あれ? 佑哉きょう、仕事じゃなかった?」
「あ、インフルがふたり出ちゃって。うつったらヤバイから中止になったんですよ。いやあ、玄関開けたら奥から可愛い声が聞こえて、どうしようかと思いましたけど」
なんで、なんであんなこと……しかもタイミング悪く見られちゃうし……。
軽く後悔していると、佑哉が頬擦りしてきた。
「急にムラムラしてきちゃったんだ。可愛い」
「はずかしいよ」
「俺はいいもの見られてラッキーでしたけど」
なんでこんなことになったのかを、言った方がいいのか言わなくてもいいのか……。
いや、付き合ってる相手を差し置いてひとりでするなんて、不快に思われたって不思議はない行為なのだから、ちゃんと説明しないと。
「あの、あのね、佑哉」
「なんですか?」
「その、なんでひとりでしちゃったのか、一応説明した方がいいかなって」
「え、聞きたい聞きたい」
「下校中、目の前に1年の男子が4人で歩いてて、なんかセックスしてみたい的な話してて。それだけだったら別に、男の妄想だし何とも思わなかったんだけど……、その……内容が、『もし俺が葛城くらいイケメンだった何々する』みたいな」
自分で言ってて馬鹿らしくなってきた。
「それが結構過激で、絶対佑哉がしなさそうなことばっかり言うから」
「え? 他人の妄想聞いてその気になっちゃったんですか?」
「…………」
絶対真っ赤になってる。
恥ずかしくて泣きそうになっていると、佑哉は片肘をついて半身を起こし、僕の顔を覗き込んだ。
「しなさそうなことって? 例えば?」
「縛るとか。イケメンだったら許されるだろみたいな暴論と共に」
「あはは、軽く縛っちゃったけどね」
「いや、なんかもっとこう、ハードな感じで、全身縛り付けちゃって身動き取れなくするみたいな」
「ふーん?」
「それで、筆で乳首とかなぞっていじめるとか」
「なるほど?」
「そしたらちょっと勃ってきちゃって……」
もうこれ以上は言いたくない。
そっと布団の中にもぐっていくと、佑哉は優しい声で言った。
「楽しそうだし、今度やってみます? 痛くなくてエロい結び方とか調べますよ」
「えっ? いや、いい。いい。やんない」
「筆とか全く思いつかなかったし。すごいなー、みんなどこでそういう情報仕入れてくるんだろ」
「童貞の妄想の力だと思うよ。我が校の弊害だよね。交際禁止の結果、欲求不満があられもない想像に……」
目から上だけを出す僕の頭を、佑哉はもふもふとなでた。
「先輩オリジナルの妄想も叶えてあげますから、何でもリクエストしてください」
し、しない……。リクエストなんて。
ともだちにシェアしよう!