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 夕食は水族館の近くのファミレスで、なぜかやたら食べたくなって、パエリアを注文した。  佑哉は、「先輩って、羊の毛刈りに行ってジンギスカン食べるタイプでしょ?」と言って笑った。  他愛もない会話。  別にバレンタインデーだからって、特別な話題があるわけでもなし。  何かプレゼントを買おうかなとも思ったけど、要らないというのでやめた。  チョコは1ヶ月分くらい家にある。  楽しいお出かけだったけど、結局こんな感じで、日常と地続きでいられることがうれしい。  イベントの力を借りて積極的に迫らないといけない女の子たちとは、全然違う。  酔っぱらいみたいに、やたらに佑哉にもたれかかりながら、帰路についた。  玄関を開けるなり、むぎゅっと抱きつく。 「もう、先輩。なんでそんなに甘えん坊なんですか? バレンタインだからサービス?」 「違うよ。くっつきたくて、家まで我慢できなくて。ごめんね」 「あはは、可愛い」  冷たい手で頬を包まれて、ひゃっと飛び上がる。  佑哉は笑いながら僕のアウターを脱がして、そのまま横抱きにしてベッドに運んだ。 「ねえ、俺もう限界。出かけてる最中ずーっと、先輩が可愛くキュンキュン飛ばしてくるから」 「面目ない」 「全然魚見てなかったでしょ」  佑哉は笑いながらキスをしてきた。  舌を絡めながら、頭の中で抗議する。  一応見てた、と。 「ん……ふぅ」 「先輩、好き」 「ぁ、……ん、ん」  冷え切った部屋を温めようと、エアコンがフル稼働する音がする。  ちゅるっと舌を吸われるごとに脈が早くなって、現実感がなくなってくる。  目の前の佑哉は、エッチな表情で服を脱ぎ、僕のことも丸裸にして、体を重ねてきた。 「すごい、ガチガチの当たってます」 「んっ、ん、気持ちよくなりたい。佑哉と」 「いきなり息の根を止めに来るんですね、先輩は」  死ぬほど可愛い、と耳元でささやいて、僕の体を妖しくなではじめた。 「ここ、ちゅうってしていい?」  乳首の周りを舌先でつんつんとつつく。  僕がうなずくと、佑哉は唇全体を使って、やわらかく吸い付いた。  思わず悶えて、弓なりに背をそらす。  何度も吸われて、その度にか細い嬌声を上げる。 「……っ、はぁ、……ぁっ、んっ」 「気持ちいい?」 「ん、んぅ……きもちぃ、けど、足りない」  下を、触って欲しい。  目で訴えても、佑哉はニコニコするばかりで、応じてくれない。  僕はとんでもなく恥ずかしく思いながら、蚊の鳴くような声でねだった。 「……佑哉のちんちん、挿れて欲しくて」 「うわ、積極的」 「お腹の中、きゅうってする」 「じゃあ、先輩が好きなの、してあげるね」  佑哉はローションを手に取り、ヒクつく穴の周りを軽く触り始めた。  なでたり、ほんの少し出し挿れして、ちゅくちゅくと音を立ててみたり。  物足りなくて、頭がおかしくなりそう。 「や、佑哉……っ、それ、やぁっ」 「気持ちよくない?」 「きもちぃ、ん……っ、奥、おく突いて」 「もうちょっと」  大胆に奥まで指を挿し込むと、あえて音を立てるみたいにして、丹念にほぐし始めた。  長い指がたまに前立腺をかすめて、その度にピクリと体が小さく跳ねる。 「あぅ、……も、だめ、待てないからぁ」 「うん。俺も、繋がりたいです」  佑哉はコンドームをはめると、僕の足を高く持ち上げた。  そして、ずぷずぷと沈んでくる。 「あぁ……ッ」 「あー……やばい、」 「んっ、ん、ゆうやぁ」  ねだるみたいにしがみつくと、佑哉は余裕がなさそうにちょっと微笑んでから、いきなりスピードをつけて腰を打ちつけてきた。  僕は嬌声を上げる。  期待していた通りの場所を、的確に攻められるからだ。 「あンッ、……っはあ、気持ちいいっ、おく、あぁ」 「先輩……っ、すごい、中、締めてきて」 「全部気持ちいい」  熱いお腹の中も、荒い呼吸が当たる皮膚も、呼ばれるたびにゾクゾクする鼓膜も。  全部気持ちいい。 「ねえ、可愛い。目、とろんとしてるよ」 「はあっ、はぁ、……っ、」 「エッチなこと、興奮するよね」 「ん、んっ、佑哉にしてもらうの、すき」 「可愛い」  佑哉は僕の頭を愛しそうになでて、キスしてくれた。  軽くて優しいキスだったのに、僕は興奮して、舌を伸ばしてしまう。   佑哉はクスッと笑って、舌を吸い上げてくれた。  激しく絡まって、また興奮する。 「ぁ、……っ、ああ」 「なんでそんなやらしい顔するの、ド真面目な委員長さん」 「や、呼ばないで」 「でも先輩は、みんなのお手本の風紀委員長ですよね? こんなにエッチだけど」 「んっ、はあ、ぁあっ、」 「俺のちんこ、気持ちいいですか?」 「きもちぃ……佑哉の、きもちぃ」  佑哉は僕の体をたっぷりと揺さぶりながら言った。 「俺だって、仕事上は硬派キャラです。こんな風に学校の先輩とセックスしてるなんて、誰も知らない」 「ん……、ぼくだけ……」 「そう。先輩だけですよ、大好きで、こういうことをしたいのは」 「ああ……ッ、も、あんっ、ンッ、……イッちゃぅっ」 「いいよ。イッて?」 「ああぁッ」  ガクガクと痙攣する。体が制御できない感じ。  もしかしたら軽くイッているのかもしれないけれど、はしたなくむさぼる体は止まらない。 「あっ、あッ、んぁ……っ! イク、イクッ、イク……! ぁあああっ!」 「もっと出るよ」 「ああ……っ! だめ、イッてる! ぁああッ……!」  目の前がチカチカする。  イッているのに、止めてくれない。  何回も強制的に射精させられている感じで、気持ち良さが頂点に届くたび、ビュルッと精液が飛び散る。  後ろの刺激で出なくなると、佑哉は僕のペニスをきつく握って強く擦り、なおも射精させた。 「…………ぁあっ!」  何度目か分からない絶頂で、ついに意識が飛んだ。

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